自閉症スペクトラム障害の自己評価:自閉症スペクトラム障害指数とは?
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自閉症スペクトラム障害指数(The autism-spectrum quotient (AQ))とは?

自閉症スペクトラム障害を評価する方法は数多くありますが、

その多くは時間がかかったり、被験者本人以外の人の評価が必要なのですが、

被験者本人が短時間で評価できる方法というものはあるのでしょうか。

今日取り上げる論文は、自閉症スペクトラム障害の自己評価スケールである自閉症スペクトラム障害指数(The autism-spectrum quotient (AQ))についての紹介論文になります。

この自閉症スペクトラム障害指数では50問からなる質問表からなっており、

(他人と一緒にいるより一人でいるほうがいい、何度も同じことをすることを好む、パーティーに行くよりも図書館へ行くほうが好きだ、簡単に物語を作れる、などについて、とても当てはまる、どちらかというと当てはまる、あまり当てはまらない、全く当てはまらないの4択で評価)

この論文ではアスペルガー症候群/高機能自閉症群と健常成人群、ケンブリッジ大学の各学部(人文系、理系(数学、工学など)、数学オリンピック出場者などを対象にこの自己評価検査を行わせ、その結果について調べています。

結果を述べるとこの自閉症スペクトラム障害指数は自閉症スペクトラム障害の抽出に有効であること、

またケンブリッジ大学の理系、とりわけ工学系の専攻で高い点数を認め、また数学オリンピック出場者でも高い点数となったことが示されています。

日本では専門の医療機関で240円程度で行えるとのことですが、簡単に行えるとのことで興味深いなと思いました。

 

参考URL:The autism-spectrum quotient (AQ): evidence from Asperger syndrome/high-functioning autism, males and females, scientists and mathematicians.

【要旨】

現在、正常な知能を持つ成人が自閉症スペクトラムに関連した特徴を持っている程度を測定するための簡単な自己評価方法はない。本稿では、これを評価するための新しい方法、自閉症スペクトラム指数(AQ)について報告する。個人の得点は0〜50である。4つの被験者グループが評価された:グループ1:アスペルガー症候群(AS)または高機能自閉症(HFA)を持つ58人の成人。グループ2:174の無作為に選択された対照群。グループ3:ケンブリッジ大学の840人の学生。そしてグループ4:英国数学オリンピックの16人の勝者。 AS / HFAを有する成人は35.8の平均AQスコア(SD = 6.5)を有し、これはグループ2のコントロールよりも有意に高かった(M = 16.4、SD = 6.3)。 AS / HFAを有する成人の80%、対照群では2%が32点以上を記録した。対照群のうち、男性は女性よりわずかに高いが有意に高いスコアを記録した。非常に高い得点を示した女性はいなかった(AQスコア34以上)が、男性の4%が該当した。女性(21%)の2倍の男性(40%)が中程度のスコア(AQスコア20+)を記録した。 AS / HFA群では、男性と女性のスコアに有意差は認めれなかった。ケンブリッジ大学の学生は無作為に選択された対照群と違いはなかったが、科学者(数学者を含む)は人文科学と社会科学の両方の学生よりも有意に高い得点を示した。科学の中では、数学者は最高得点を記録した。これはグループ4、数学オリンピックの勝者がケンブリッジの人文科学の男子生徒よりもかなり高い得点であった。学生サンプルの6%がAQで32点以上を獲得した。面接では、これらの32点以上を示した11名のうち11名がAS / HFAのための3つ以上のDSM-IV基準を満たし、そして全員が科学/数学を研究しており、11名のうち7名がこれらの診断基準で閾値を満たした。 AQの再テスト再現性と評価者間の信頼性は良好であった。したがって、AQは、特定の個人が自閉症から正常性までの連続体のどこに位置しているかを迅速に定量化するための貴重な手段であるといえる。正常な知能の成人における自閉症スペクトラム状態のスクリーニングの可能性の探求が望まれる。

 

 

 

 

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