テストステロンと教育:人の攻撃性は緩和しうるのか?
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4,462名の男性のサンプルにおけるテストステロン、社会階級および反社会的行動

テストステロンというのは男性ホルモンの一種で、一説によると人を攻撃的にさせる作用があるそうですがこれを是正する方法というのはあるのでしょうか。

今日取り上げる論文は、ベトナム戦争の退役軍人を対象にテストステロンの値と攻撃行動、社会経済状態の関係について調べたものです。

結果を述べると、やはりテストステロンの値が高いほど様々な問題行動(両親や友人とのトラブル、ドラッグ、アルコール、性的パートナーの多さ)があったものの、

対照群を社会経済状態(所得や学歴の高さ)で、高いものと低いものに分けた場合、

これが高いものについてはテストステロンの値と問題行動の関係性が低くなっていたことが示されています。

この結果について筆者らは、学歴が高いことが認知傾向を変えた(教育効果)のか、あるいは動機づけ(問題行動は損を引き起こす)かという判断は出来ないと述べています。

サイコパスでも、だめなサイコパス(軽率な犯罪者)と成功サイコパス(経営者や政治家)がいるという話を聞いたことがありますが、

暴力性をコントロールする力というのは大事なのかなと思いました。

参考URL :Testosterone, social class, and antisocial behavior in a sample of 4,462 men.

【要旨】

非行集団および犯罪集団におけるテストステロンと反社会的行動との関係を説明するために、2つの仮説が提示されている。1つは、テストステロンが反社会的行動を直接引き起こすことである。もう1つは、テストステロンに関連した優位性、競争力、感覚の集合が、個人の資源と背景に依存して反社会的あるいは社会的行動につながるということである。4,462人の退役軍人から得られた長期保存データの分析は、テストステロンはすべての個人において様々な反社会的行動と相関していたという最初の仮説を支持した。しかし、社会経済的状態(SES)は、高SES被験者の間でテストステロン‐行動関係が弱いことから、緩和変数であることが証明された。

コメント

人はどこまで自由なのかなというのはよく考える。

生まれ持った身体というのは根っこの部分は変えようがないし、

良くも悪くも生まれた時代や家庭環境の影響に拘束される。

仏教では、変えようとも変えられない生まれ背負ったなにかを「業」ともいうけれど

生きるというのは程度の差はあれ、業火に炙られるなにかなのかなと思ったりです。

いい感じに炙られて芳ばしい人生でも送ってみよう(-_-;)

 

 

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