脳科学的に早期教育は本当にその人の頭を良くするのか?
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子供の脳の発達はどのようになっているのか?

自分の子供をより優れた人間にしたい、言い換えればより生存能力が高く、より遺伝子を残せる人間にしたいという欲望は、地球上に住む生物の一種である私達人間の抜き難い宿業ですが、

果たして子供の脳というのは教育や環境によってどれほど変えることができるのでしょうか。

果物や野菜の栽培でもないのですが、何かを上手に育てるにはその対象が自然経過としてどのように変わっていくかという知識が不可欠ですが、

私達人間の脳の基本的な発達の仕組みというのはどのようなものになっているのでしょうか。

個体発生は系統発生を繰り返す?ヘッケルの反復説

生物学でしばしば取り上げられる仮説としてヘッケルの反復説というものがあります。これは個体の発達の歴史は今までの進化の歴史を反映しているというもので、

胎児の発生を見てもあたかも魚類から爬虫類、哺乳類といった進化の歴史をたどるように変化していることが有名なところではないでしょうか。

それではお腹の中から出た赤ちゃんの脳というのは、どの程度系統発生の歴史をたどるものなのでしょうか。

児童期の脳、思春期の脳

今日取り上げる論文は、600名の双子を含む兄弟姉妹(平均齢11.1歳、範囲5 -19歳)を対象に、年齢によって大脳皮質の各領域がどのように変化しているのか、どの年齢によって程度遺伝の影響を受けているのかについて大脳皮質の厚さを元に調べたものです。

結果を述べると進化的に古い領域である一次体性感覚野や一次運動野といった領域は年齢が低いうちから遺伝的影響を受けやすく、

また進化的に比較的新しい領域、すなわち言語や道具の使用、記憶に関わる前頭葉や側頭葉については思春期、青少年期になればなるほど遺伝的影響を受け易いことが示されています。

知能指数については年齢を増すごとに本来その人が持っている能力に収束していることも報告されていますが、

これと似たような形で、人間の高次の能力に関わる領域も青少年になるに連れて遺伝的な影響のもとに置かれてくるということで

この結果から一般化することができないのは承知していますが、

早期教育というのは児童期の能力を一時的に上げることができても、青少年期には落ち着くところに落ち着くのかなと思いました。

参考URL:Differences in genetic and environmental influences on the human cerebral cortex associated with development during childhood and adolescence.

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