ダークトライアド:サイコパス、ナルシズム、マキャベリズムの合併症?
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ダークトライアドとはなにか?

ダークトライアドというのは聞き慣れない言葉だが、これは

・サイコパス

・ナルシズム

・マキャベリズム

の3つの性質を兼ね備えて性格特性になる。

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ちなみにこのダークトライアドに該当する人は全人口の1-2%と言われているが、これを判別する方法はあるのだろうか?

今回の記事ではダークトライアドの特徴と評価方法について説明する。

ダークトライアドの特徴

ダークトライアドの特徴としては、以下のものが知られている(Furnham et al., 2013)。

・ダークトライアドとは、サイコパス、ナルシズム、マキャベリズムの3要因を併せ持つ人格特性である。

・この性格傾向に高い知能や優れた容姿が組み合わさると社会的に成功することがある。

・ダークトライアドにサディズム傾向を加えたダークテトラドと呼ばれる概念もある。

・ダークトライアド特性を持つ個人は生き急ぐような生活史を持つ。

・ダークトライアドは遺伝的要因が大きく関与する。

 

心理学的概念としてはサイコパスやナルシズム、マキャベリズムは独立はしているが、思い当たる人間を考えると、確かにこれらの性格特性は重複しているようにも思える。ではダークトライアドを評価するものとしてはどのようなものだろうか。

ダークトライアドの簡単評価表

ダークトライアドを簡便に評価するものとしては、テキサス大学のジョーンズ博士によって開発されたショートダークトライアド(SD3)というものがある。

全く同意できないを1点、全くその通りを5点として評価する。項目は以下の通り。

マキャベリズム項目

・秘密を言うのは賢明ではない。

・私は巧妙な操作を使って道を選びたい。

・どんなものであれ、大切な人たちをそばに置かなければなりません。

・他者との直接の対立を避けること。なぜなら、他者は将来役に立つかもしれないからである。

・あとで人に対抗して使うことのできる情報を記録しておくことが賢明です。

・人と復縁するにはちょうどいいタイミングを待つべきだ。

・あなたの評判を守るためには、他の人から隠すべきことがあります。

・他人ではなく自分自身の利益になるように計画を立てましょう。

・たいていの人は操作できます。

ナルシスト項目

・人々は私を自然なリーダーだと考えている。

・私は注目の中心であることが嫌いだ。(反転項目)

・私がいないと、グループ活動の多くは鈍くなりがちです。

・私は自分が特別な人であることを知っています。なぜなら皆がそう言うからです。

・大切な人と知り合いになりたい。

・だれかにほめられたら恥ずかしい。(反転項目)

・私は有名人と比べられてきた。

・私は普通の人だ。(反転項目)

・私は、尊敬を得るに値することを主張する。

サイコパス項目

・私は権威に報復したい。

・危険な状況を避ける。(反転項目)

・仕返しは、迅速かつ意地悪なものでなければならない。

・いつも、ぼくは制御不能だと言われる。

・私が他人に悪意があるのは確かだ。

・私をいじめる人たちはいつもそれを後悔している。

・わたしは法律でトラブルに巻き込まれたことがない。(反転項目)

・あまり知らない人とセックスするのが楽しい

・欲しいものを手に入れるために、何でも言ってみる。

 

項目だけツラツラみると、こんな人とは関わりたくないなと思ったり、あるいは身に覚えがある項目もあったりででヒヤリとする。では実際のところ何点以上でダークトライアド認定となるのだろうか。

具体的なカットオフポイントを示した研究はないが、スポーツ選手を対象に調査した結果では、男性ではざっくり55~90点、女性では44~79点位が、一般的な点数(偏差値で言えば40~60の間)になることが示されている(Vaughan et al., 2019)。もしそれ以上であれば、ダークトライアド傾向があるとも言えるのかもしれない。

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(Vaughan et al., 2019, table 1を参考に筆者作成)

ダークトライアドフェイス

またダークトライアド特有の顔つきについて調査した研究もあります(Holtzman, 2021)

この研究では、大学生男女81名に、ダークトライアド評価表を回答させ、顔写真を撮影し、顔の輪郭、鼻、耳、唇、眼、眉のそれぞれの特徴を関連付け解析している。結果を示すと以下の通り。

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(Holtzman, 2021, fig.1を参考に筆者作成)

まあ、言われてみればそうなのかなという気もしないでもない。

このようにダークトライアドを評価する方法はいくらかあるのだが、世界は複雑で何が役に立って何が善悪をなすのかは割り切れない部分も多い。善が悪をなすこともあれば、その逆がないとは言い切れない。みんな違ってみんないい、とは言い切れない場面もあるかもしれないが、それでも他者には寛容でありたいな、と思う。

【参考文献】

Furnham, A., Richards, S. C., & Paulhus, D. L. (2013). The Dark Triad of personality: A 10 year review. Social and personality psychology compass7(3), 199-216.

Holtzman, N. S. (2011). Facing a psychopath: Detecting the dark triad from emotionally-neutral faces, using prototypes from the Personality Faceaurus. Journal of Research in Personality, 45(6), 648-654.

Vaughan, R., Madigan, D. J., Carter, G. L., & Nicholls, A. R. (2019). The Dark Triad in male and female athletes and non-athletes: Group differences and psychometric properties of the Short Dark Triad (SD3). Psychology of Sport and Exercise, 43, 64-72.

 

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