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トンビが鷹を生むという話でもないが、末っ子が保育園のかけっこで一位を取ったときには、本当に驚いた。

万年ビリッケツだった私の息子が、先頭でテープを切った。思わず涙がこみ上げそうになった。

だが運動会の後半、息子は別の涙を流すことになる。リレーのアンカーを任されたものの、一位を逃してしまったのだ。

表彰式で、悔し涙を必死に拭う息子の真顔が忘れられない。

それを見ながら考えた。――私が最後に悔し涙を流したのは、いつだっただろうか、と。

思い返せば、この20年ほど悔し涙を流した記憶がない。勝負を避けてきたわけではない。むしろずっと勝負し続けてきた。しかし泣くことはなかった。なぜだろうか。

おそらく、ストイシズムの影響ではないかと思う。

ストイシズムは古代ギリシアの哲学者ストアに由来する。その本質は「コントロールできるものとできないものを峻別し、できるものだけに注力し、外にあるものは粛々と受け入れる」という態度にある。

私がここ20年泣かなかったのは、このストイシズムに従って生きてきたからではないだろうか。やるべきことを黙々と行い、その結果を淡々と受け止める。そこには涙の入り込む余地がなかったのだ。

では、アスリートが試合後に悔し涙を流すのはなぜなのか。彼らこそ、ストイシズムを体現しているように見えるのに。

だが実際には、それはストイシズムとは似て非なるものなのではないか。彼らを突き動かすのは「自己を完成させようとする冷静な態度」ではなく、「自己を超えようとする熱い衝動」だからだ。

自己完成と自己超越。その違いこそが、悔し涙を生むのだろう。

年長組の息子が流した涙は、自己超越を果たせなかった悔しさの証なのかもしれない。

下手なストイシズムなどに染まらず、彼には悔し涙に満ちた人生を歩んでほしい。

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