心理学の記事一覧
はじめに 昔のバラエティ番組を見返していると、今では笑えない場面に出くわすことがある。体型や容姿をネタにして笑いを取る芸人、失敗を延々とからかう演出。当時は爆笑していたのに、今見ると「これはちょっと...」と眉をひそめてしまう。 なぜ同じ映像なのに、昔は面白くて今は面白くないのだろう。笑いとは一体何なのか。何が...
はじめに 飲み会で上司が「昔はよかった」という話を始めた。みんな適当にうなずいて「そうですねー」と笑う。でも新入社員だけは真顔のままだ。その瞬間、場の空気が微妙に重くなる。 私たちは面白いから笑うと思いがちだが、実際はそう単純ではない。多くの場合、「ここで笑うべきだ」と察するから笑っている。では、その「べき」は...
はじめに 電車で隣に座った人がスマホで動画を見ている。突然その人が「プッ」と吹き出し、慌てて口を押さえた。こちらまでつられて笑いそうになる。笑いには確かに人から人へと伝わる不思議な力がある。 「笑う門には福来る」という言葉があるが、これは単なる気休めなのだろうか。最近の研究では、笑いがホルモンや血管、免疫システ...
はじめに 日曜の動物園でのことだ。チンパンジーの子どもがほうきを奪って逃げる。追いかける飼育員、響く「ククク…」という低い息づかい。ガラスのこちら側で吹き出した私たちと、向こうで揺れる黒い肩。進化の歳月は、この笑い声を分け隔てたのか、それとも繋いだのか。 仕事帰りに動画サイトを開けば、人間も同じように笑いに転げ...
はじめに 朝の通勤電車で、ふと目にしたポスターに描かれた「多くの人がすでに始めています」という文言。気がつけば自分も同じ行動を取ろうとしている。こうしたちょっとした誘導、いわゆる「ナッジ」は、私たちの日常にどれほど入り込んでいるのだろうか。 前回までのエッセイで紹介したように、ナッジは行動経済学や心理学の知見に...
はじめに 朝、SNSを開くと「あなたに最適なニュースを選びました」と提示される記事一覧。それをクリックするのは、果たして自分の意思だろうか、それともアルゴリズムの誘導のままなのか。こうした場面は、ほんの些細な気づきかもしれないが、実はナッジの哲学的核心を映し出している。 ナッジは人々の行動を後押しする手法であり...
はじめに スーパーのレジ前で、ついチョコレートやガムを手に取ってしまった経験はないだろうか。退屈な待ち時間、視界に飛び込む甘い誘惑――その配置も、実は巧妙に練られた心理学のトリックだ。私たちの行動はいつも理性的とは限らない。ほんのわずかな「きっかけ」が、意思決定を軽やかにねじ曲げる。 ナッジは強制でも高額な報酬...
はじめに 朝起きてスマートフォンを手に取ると、健康アプリが「今日はあと1000歩多く歩いてみませんか?」と勧めてくる。これはわずかな促しにすぎないが、無意識のうちに「やってみようか」という気にさせる力をもっている。こうしたささやかな誘導は、政治や経済、そして私たちの保健行動など、多くの場面で利用されている。いわ...
はじめに 前回は恋愛初期に起こる胸の高まりや感情の揺れをもたらすホルモンについて話した。ドーパミンによる強い欲求、セロトニン低下が引き起こす不安定さ、そしてアドレナリンによる興奮感――これらは恋愛の初期段階の特徴だ。 しかし、人間関係が長続きするには、こうした熱狂だけでは不十分だ。恋愛の熱が冷め、安定した関係に...
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自己紹介
佐藤 洋平
脳科学リサーチャー、医学博士。筑波大学国際関係学類卒業。理学療法士を経て、人間と脳への関心から大学院に進学し、コミュニケーションに関する脳機能を研究。富山大学大学院生命融合科学研究科後期博士課程終了。
専門は認知・情動・コミュニケーションに関わる脳機能。脳科学リサーチ・コンサルティングを行い、研究者から上場企業まで学術支援を展開。日米を中心とした脳科学の知見普及を目指し、脳科学メディア『What is Man?』『Pondering Brain』を運営。「人間とはなにか?」をライフテーマに脳科学、心理学、哲学、社会学から多面的に考察している。
専門は認知・情動・コミュニケーションに関わる脳機能。脳科学リサーチ・コンサルティングを行い、研究者から上場企業まで学術支援を展開。日米を中心とした脳科学の知見普及を目指し、脳科学メディア『What is Man?』『Pondering Brain』を運営。「人間とはなにか?」をライフテーマに脳科学、心理学、哲学、社会学から多面的に考察している。