
女性における社会的支配性とテストステロン
昨今の風潮もあり、「強い」女性という言葉も、ともすれば批判の対象となりそうですが、「弱い」男がいるようにその対極として
打たれ強く、上昇志向が強く、アグレッシブな女性もまた少なからず世の中にはいます。
一般にこういった性格傾向は男らしさという言葉で言われることも多いのですが、こういった性格特性を持つ女性というのは生理学的な特徴があるのでしょうか。
今日取り上げる論文は、若年女性を対象に、男性ホルモンであるテストステロンと彼女らの社会的支配性の関係について調べたものです。
実験では52名の若年女性に社会的支配性に関する質問表を記入させ、血漿中のテストステロンの濃度を測定しているのですが、
やはり社会的支配性が強い女性ほどテストステロンの濃度が高い傾向があることが示されています。
人間は往々にして理解を単純にするために、より少ないカテゴリ(男と女、アメリカ人と中国人など)で理解しようとしますが、
実際のところ、性差よりも個体差のほうがその人の性格に与える影響が大きいのかなと思いました。
参考URL :Dominance and testosterone in women
ポイント
52例の若年女性を対象に社会的支配力に関する質問表とテストステロンの血漿中濃度の測定を行った。
結果、テストステロンの濃度が高いほど、社会的支配力も高くなることが示された。
補足コメント
世の中にはいろんな考え方があり、いろんな価値観がある。
その中でも社会的に認めれた常識とよばれるものもあるが、歴史の本をめくってみたり、他の文化圏の人と話したりすると
案外常識というのもあてにならないなと思うこともある(留学生が多い私が所属している研究室では、目上に当たる助教や教授の部屋を掃除しようとしても、なんとなくそれは違うよという雰囲気があったりもする)。
とはいえ、女性性や男性性をめぐる規範というのは歴史的にも文化的にも結構似たようなものがあり、強固なものがあるような気がする。
それは違うと既存の価値観に戦いを挑むのも一つだし、
多くの人はそう考えているのねとサラリと流してうまくやるのもひとつなんだろう。
ちょっと少し前までは残業が美徳だったし、私が若い頃は就職活動用のスーツは紺色がスタンダードだったし、常識というのは集団の挙動によってがらりと変わるのだろう(数学的にある程度説明できるようです)
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社会のいろんな価値観・規範は、色んな人が集まる中で自然と構成されてきたものだという考え方は社会構成主義とも呼ばれるけれど、
わたしの思考というのは、どこまで社会から自由になれるのかなと思ったりです。