生理学からみる男の嫉妬の怖さ
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嫉妬というのは厄介な感情で、これは自分が嫉妬しても苦しいし、嫉妬されても不快なものです。

こういった嫉妬の感情は、男性のほうが女性に比べてたちが悪いという話や、とりわけ男らしさ渦巻く政治の世界は嫉妬の強さがとてつもないという話も聞くことがありますが、こういった男の持つ嫉妬の強さというのは生理学的にはどのように解釈できるのでしょうか。

今日取り上げる論文は、ヒトの共感性についてホルモンがどのような働きをするかについて調べたものをまとめた論文になります。

人の持つ大きな特徴として利他性というものがあります。これはすなわち他人のために無償で尽くすような行動ですが、こういった利他的行動を促すホルモンとして女性ホルモンの一種であるオキシトシンというものがあります。

またこの優しさホルモンであるオキシトシンを抑制するホルモンとして男性ホルモン、テストテロンというものもあります。このテストテロンというのはヒトを攻撃的にする働きがあるのですが、

はたしてオキシトシンやテストテロンを注射されると、ヒトの行動がどのように変わるのかについて調べた研究がこの論文で取り上げられています。

実験では男女の被験者に、それぞれオキシトシンやテストテロンを注入され、「最後通告ゲーム」と呼ばれる金銭ゲームを行います。

このゲームでは被験者AとBが、相手に対してお金をどれだけ与えるか、また与えられた側は受け取るか、受け取らずに相手を罰するか(相手が1万円の配分権を持っていて自分に10円しかくれなかったら、怒りますよね)を決められるようなものです。

結果を述べるとオキシトシンを注入された場合、男女ともにどちらとも気前よく分配するようになるのですが、

テストテロンを注入された場合、男性に限って、懲罰的な行動が増えたこと、つまり受け取った額が少ない場合、相手を罰する行動に出やすくなることが示されています。

男の嫉妬はしばしば自分が出し抜かれたと感じたときに生じるものですが、男の持つ強力な嫉妬、抑制された攻撃衝動というのはこのテストテロンが関係しているのかなと思いました。

参考URL:

The physiology of moral sentiments.

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