テストステロンから見る:愛と暴力、生殖の可能性について
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なぜテストステロンは愛と暴力に関わるのか?

男らしさがなにかという定義は難しいのですが、

これを一つの極端な形であらわせば「英雄」ということになるのではないかと思います。

常に戦い挑み、勝利し、支配し、モテまくるというのは古代の英雄譚から近年のヤンキー漫画まで共通する一つの形だと思うのですが、

こういった男らしさに関わるホルモンにテストステロンというものがあります。

さてこのテストステロンは、動物実験からオスとの争い(攻撃)とメスへの接近(愛欲?)でともに増えることが示されていますが、

なぜ一つのホルモンが愛と暴力といった2つの異なる場面で増えるのでしょうか。

今日取り上げる論文は、このテストステロンについての総説論文になります。

主に動物を対象にしたテストステロンと行動の関係についての研究について取り上げているのですが、

この論文によると、テストステロンの本質的な働きとは生殖可能性を高めることではないかということが述べられています。

つまりオスと争う主な原因は、いわば生殖活動の相手となるメスを巡っての争いであり、

メスに接近して増えるのもやはり生殖可能性を高めるという文脈で捉えることができるのではないかということが述べられています。

オスは社会に出て大いに争いますが、これは長い進化の歴史で考えれば本質的にはメスを巡っての争いなのかなと思ったり、

仕事ができるヒトが浮気をしたり、英雄が色を好んだりするのはテストステロンの働きを考えれば必然的なことなのかなと思いました。

 

参考URL:Testosterone release and social context: when it occurs and why.

【要旨】

テストステロンの急激な増加の機能は、男性 – 男性の積極的な出会いや男性 – 女性の性的な出会いなど、さまざまな社会的背景に反応して起こる可能性があるため、逆説的に見える。これは、文脈がテストステロンの変化による機能的影響に影響を与える可能性があることを示唆している。カリフォルニアのマウス(Peromyscus californicus)を用いた研究を含む多くの研究が、操作と種の比較を用いてこれらの問題に取り組んできたが、まだ他にも多くの研究分野がある。社会的競争が将来の競争行動に影響を及ぼした後のテストステロンの一過性の増加を示唆する研究を本稿で報告するが、社会的経験だけでも将来の行動を決定するのに重要である可能性がある。他のげっ歯類では、匹敵するテストステロンの急増が性的刺激に反応して起こるが、その機能は完全には理解されていない。テストステロンは、競争的および性的な行動に加えて、父親の行動や独占の程度など、社会的行動に役立つ他のシステムにも影響を与える。したがって、バソプレシンおよびアロマターゼ系などのテストステロンによって調節される機序はまた、攻撃的または性的な状況におけるテストステロンの急速な急増によって影響を受ける可能性がある。テストステロンの機能がいくつかの文脈でどのように重なりうるのかについて議論を行う。

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