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左右半球の脳損傷と反応時間課題

脳の機能を調べる方法はいろいろありますが、

その中でも最もシンプルなものになにか課題をさせているときの反応時間を調べるというものがあります。

例えば不安や恐怖に関わる領域として扁桃体がありますが、

この扁桃体を損傷した人を対象に不安や恐怖を掻き立てるような画像を見せ、それに反応してボタンを押すような課題でどれくらいの時間でボタンを押したかを調べたり、

あるいは抑制機能を司る前頭眼窩野を損傷した人を対象に、欲望を掻き立てるような画像を見せ、それに反応してボタンを押す反応時間の特徴を見たりといった評価方法になります。

こういったシンプルながらも奥が深そうな反応時間課題ですが、これを脳卒中患者を対象に行った場合、果たして右半球損傷と左半球損傷で何かしら違いは出るのでしょうか。

今日取り上げる論文は、左右いずれかの脳損傷をきたした患者を対象に非麻痺側の指を使ってスピーカーから流れる大きな音に反応する課題を行った実験についてのものです。

結果を述べると、優位半球(利き手と反対側の脳半球、ほとんどのケースでは左半球)も非優位半球(利き手と同側の脳半球、ほとんどのケースでは右半球)も、いずれも健常者と比べて反応時間が長くなったのですが、

右半球損傷のほうが左半球損傷よりもおよそ100ミリ秒反応時間が長くなったことが示されており、

このことから右半球は注意機能に特異的に関わっているのではないかということが述べられています。

半側空間無視の病態の本態は注意機能にあるのではないかという説もありますが、

やはり右半球というのは視覚聴覚といったモダリティを超えて注意機能全般に関わっているのかなと思いました。

参考URL:Simple reaction time: evidence for focal impairment from lesions of the right hemisphere.

【要旨】

単純な反応時間は、病変と同側の手で反応するいずれかの脳半球の片側病変を有する患者において有意に増加するが、病変が非優位半球にある場合、その効果ははるかに大きい。この違いは、病変の大きさや種類の非対称性に起因するものではない。反応時間の古典的伝導モデルも、De Renzi and Faglioni(1965)によって提案された容量ー動作仮説も、この発見を説明することはできない。優性半球の病変で観察された約100msの増加はおそらく脳疾患の非特異的効果を表すが、非優性半球の病変から生じるはるかに大きい増加は局所的な要因に起因するように思われる。決定的な領域はまだ確実に特定することはできないが、反応時間が最も長い患者を対象とした脳スキャンマップでは、大脳基底核内またはその近傍の構造が関与していることが示唆されている。しかしながら他の研究では反対側の運動障害を有する患者を除外した場合、病巣効果は見られないとも述べられている。

 

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