旅と本とビジネスの進化心理学
自宅にはテレビがないので、手の空いた時には何かしら本をめくる。固すぎる本は良くない。子供の絵本読んで攻撃をかわしながら読める軽いものがいい。でも中古百円になるような本も嫌だ。
そうすると図書館で選ぶ本は紀行ものや旅行記か、外国の短編集になる。今回はロシアで活躍された佐藤優氏の「十五の夏」を選んだ。氏が高校一年の夏休みに旧ソ連や東欧を独りで巡った記録だ。
恐らく氏の一生を決定づけたような旅だったであろう。しかしながら人は何故旅をするのだろうか。古代ギリシャにホメロスの冒険譚があることを考えてもこれは人間の本源的な行動なのだろう。
動物行動学ではヒトも含めた動物の行動は大きく二つに分けられるという。探索と掘り下げである。ある一つのことにのめり込むのは掘り下げであり、そこから喜びを得られなくなったら探索が始まる。幼児の行動を思い出すと分かりやすい。
オデュッセイにしてもヤマトタケルにしても、彼らは家を離れ世界を探索する。何故探索をするのか。理由はないだろう。ただ進化の過程で探索に喜びを感じるような種が生存確率を上げられるような経緯はあっただろう。
たまに会社を立ち上げ大きくし売却したような人がもう一度ビジネスを始める場面に会う。遠くへ出かけ人と会い道無き道を行くという点ではビジネスは旅以上に旅という気もする。
研究の場にも身をおいてはいるが研究は風呂敷を大きく広げて閉じて行くことと似ている。文献を狩猟するような探索行動は大好きだが、緻密にまとめて閉じて行くというのは不得手である。研究者にはなりきれない気もする、
多くの物語の結末のようにお家に帰って幸せに暮らしましたとさ、となるか松尾芭蕉のように旅の途中でいき倒れるかは分からない。どんな形にしろ、その人の業を尽くすのが良い人生なのかなと思ったりです。