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ドーパミンと報酬系

なぜあなたはそれをせずにはいられないのか?欲望の腑分けとドーパミンシステム

ヒトは生まれついての欲望の生き物です.

ミルクを欲しければ泣き叫び,

欲しいものがあれば駄々をこね

その思いが満たされないときには涙し怒る生き物ですが,

ヒトをこのように様々な行動に駆り立てる「欲望」とは生理学的にはどのように考えることができるのでしょうか.

この論文は,ドーパミンと欲望の関係について詳しく論じたものです.

参考URL: The debate over dopamine's role in reward: the case for incentive salience.

この論文によると欲望というのは3つの切り口があるようで

一つは”Liking(好きであること)”です.

これは風呂上がりのコーヒー牛乳や冷えたビールが”うまい!!”と感じさせるような欲望の一側面で,これにドーパミンが関わっているという切り口,

もう一つは”Wanting(欲しいこと)”です.

これは文字通り欲しがることで,おもちゃや地位,お金,彼氏彼女などなどいろいろですが,ヒトを駆り立てる衝動という欲望の一側面で,これにドーパミンが関わるという切り口です.

もう一つは”Learning(学習)”です.

これはごくごく単純に言えば,ビールを飲んだ,うまい!→次にビールを見た時にビールが欲しくなる,という好きと欲しいの間の橋渡し学習にドーパミンが関わるという切り口です.

この論文では過去に行われた膨大な研究から,この3つの切り口のうち,本当に正しいのは,おそらく”Wanting(欲しいこと)”システムであろうということが述べられています.

どうやら脳の中では必ずしも好きであることと欲しいことが一致するわけではないようで

多少被る部分があるものの,「好きである」という感情を惹起するようなシステムと,「欲しい,取らずにはいられない!」とヒトを煽るようなシステムはどうも違うシステムで動いているようで

欲望ホルモンとも呼ばれるドーパミンが直接関わっているのは,どうも後者の「欲しいシステム」であり,「好きであるシステム」や「学習システム」とは直接的な関係はないのではないかということが述べられています.

お酒やギャンブル,仕事など,好きでないのにせずにはいられないという現象が時にあると思うのですが,これは欲望の中でも「好きであること」と「欲しいこと」が別の仕組みで回っていることに起因するのかなと思いました.

欲求の2つの回路:欲しがる脳と満足する脳

幼少期から苦難の人生を歩んだチャップリンの言葉に「人生に意味などない、あるのは欲望だけだ」というものがありますが、

さて私達の人生を形作っているこの欲望とは具体的にはどのようなものなのでしょうか。

この論文は、この欲望と脳活動について調べたものです。

参考URL: Dissociation of reward anticipation and outcome with event-related fMRI.

私達人間は他の動物と同様に自らの欲望を満たすため、いろいろと活動しますがこの欲望というのはよくよく見てみると2つの種類に分けられるのではないかと思います。

一つは取らぬ狸の皮算用でもないのですが、これから得られるであろう報酬を予測してワクワクドキドキするような欲望と、

もう一つは実際に報酬を得ることで満ちてくるような幸福感の2つがあります。

実際例で考えると、ケーキバイキングに行く前日のワクワク感と、実際に当日ケーキを口に頬張ったときの幸福感はともに私達の欲望に関わって立ち上がる感情ですが、この2つは果たして同じ脳活動によるものなのでしょうか、それとも別物なのでしょうか。

この研究では被験者にある金銭報酬を伴った課題を行わせ、報酬を予測しているときや実際に報酬を得たときの脳活動を見ているのですが、

結果を述べると報酬の予測をしているときには、脳の中でもワクワクドキドキ感を作り出すドーパミンの放出に関わる腹側線条体の活動が増加し、

報酬を得たときには脳の中の自己意識、自己主体感に関わる腹内側前頭前野の活動が増加することが示されています。

駆り立てられるように走り抜ける人生と、足るを知る穏やかな人生がありますが、前者は報酬予測、後者は実際の報酬に関わる脳活動を主とした人生なのかなと思いました。

なぜあの子はやる気を出してくれないのか

もしあなたに子供や生徒,インターンがいるのであれば,どうすればやる気を出してやってくれるかというのは,一度ならず考えたことがあると思うのですが

はたして人はどうすればやる気を出すことができるのでしょうか.

一般にやる気の中枢は脳の奥深くにある線状体にあるといわれています.

この線状体はドーパミンを介して大脳皮質全体の活動を調整する働きがあるのですが,

この線状体というのは,どのような条件でよく活動してくれるのでしょうか.

この論文は,どのような報酬設定で線状体が活動するかについて機能的MRIを使って調べたものです.

実験では被験者に4条件の課題を行わせ,その時の脳活動について調べています.その4条件とは

1 画面上にお金が現れる.被験者はタイミング良くボタンをおすことでお金が画面上の袋の中に落ちてきて,被験者はそのお金を貰える

2 画面上にお金が現れる.被験者の行為とは関係なくランダムに画面上の袋の中に落ちてきてお金が得られる

3 画面上に幾何学的な模様が現れる.被験者はタイミング良くボタンをおすことで,模様が袋の中に落ちてくる.被験者はお金はもらえない

4 画面上に幾何学的な模様が現れる.被験者の行為とは関係なく画面上の袋の中に模様が落ちてくる.被験者はお金は貰えない

というもので行っているのですが,

自分が正しい行動をすることで報酬が得られる1の条件でもっとも線状体の活動が高くなることが示されています.

つまり線状体を賦活するためには

・報酬があること

・その報酬が貰えるかどうかは自分の行動と結びついていること

という2条件が大事なのではないかということが述べられています.

相手のやる気を引き出すには,まず相手が何を欲しがっているのかを知ることかなと思いました.

ドーパミンと行動経済学

あなたはなぜリスクを取ることができるのか

リスクを取るというのは中々至難の業で

自分の中にある恐怖心や不安感と折り合いをつけなければなりません.

世の中にはリスクテイカーといって進んでリスクを取れるヒトもいれば,安全第一,無理な冒険はしないというヒトもいて様々です.

いまこのブログを読んでいるあなたはどちらの方かは分かりませんが,このリスクテイカーと安全第一の間には脳科学的には何らかの違いというものがあるのでしょうか.

この論文はリスクテイカーの度合いと報酬・嫌悪刺激との関係について調べたものです.

参考URL: Behavioral activation system modulation on brain activation during appetitive and aversive stimulus processing

ハイリスクーハイリターンという言葉があるようにリスクと報酬は裏表の関係にあるのですが

リターンの方に目が行く人はどちらかと言うと左の前頭前野の活動が高く,リスクの方に目が行く人はどちらかというと右の前頭前野の活動が高いことが示されています.

右脳左脳と簡単に分けて考えられるわけでもないのですが

男性の方がリスクを取れて,女性が安全重視なのはやはり脳の違いというものもあるのかなと思いました.

その気にさせる脳科学:ドーパミンと行動選択

私達人間は気まぐれな生き物です.

仕事をしてねといわれても重い腰が上がらなかったり,片付けてねと子供にいっても,いつまでもグズグズ遊んでたり,中々に厄介な生き物だと思うのですが,

私達の腰を重くしたり,そうかと思えば迅速に行動させたりするものは一体何なのでしょうか.

この論文は,行動選択とドーパミンの関係についての総説論文になります.

参考URL: Dopamine and Effort-Based Decision Making

私たちは日々いろんな欲望を満たすために様々な行動を取りますが,それは必ずしも対象それだけの価値で決まるわけではありません.

ポルシェを欲しいと思っても,それを得るためには多大な努力が必要であれば,あえて買う努力をしないでしょうし.

美味しい晩御飯が食べたいと思っても,疲れ果てて立ち上がる元気すらなかったらとても台所に立とうとは思わないのではないかと思います.

つまりどの行動を選択するかというのは,目標(ポルシェ,手作りの美味しい晩御飯)とそれに必要な努力量の兼ね合いで決まってくるのですが

この論文によると,こういった兼ね合いはドーパミンによって調整される要素が大きいようで,これは例えば躁状態になってドーパミンがグルグル脳内を回るような事態になればポルシェを求めて事業の一つでも起こすかもしれないし,

あるいは鬱になってドーパミンの量が減れば,普段できているような家事もやる気になれないということです.

また,このドーパミンというのは,報酬の喜びとは関係が少ないようで,報酬を求めて欲しがる感情を調整する働きがあるようです.

つまりうつ状態になってもチョコレートは好きだけど(Liking)それを買いに行く気にはなれない(Wanting)ということで

人を動かすのは報酬刺激そのものだけでなく,それを求めるためにドーパミンに対してアプローチするか,あるいは少ないドーパミンでも行動できるように,何らかの方法で行動コストを下げることが必要になるのかなと思いました.

なぜテンションを上げるとものがよく売れるのか

初めて東京の街を見たのは15歳のとき,上野のアメ横でしたが,そこで初めて見たものにチョコレートの叩き売りというものがありました.

わんさか人だかりの中,値を下げていくチョコレートの山についつい買ってしまい,中身を見て後悔してしまったことがあるのですが

なぜ,人は高いテンションに煽られると,ものを書いたくなってしまうのでしょうか.

この論文はドーパミンと報酬の関係について述べたものです.

参考URL: Parsing reward.

以前取り上げたように「報酬」というのはいくつかの要素に切り分けられるようで

これはうまい!楽しい!気持ちいい!などの快感情をともなう”Liking"成分

もう一つは欲しい!今すぐ欲しい!それをせずにはいられない!という人を行動に駆り立てる”Wanting"成分

そしてこの二つを結ぶ”Learning"成分なのですが

このドーパミンというのは,とりわけ報酬の中でも”Wanting"成分に関わり,人や動物を行動に駆り立てること,

また遺伝子操作や薬物でこのドーパミンの代謝を変えることで”Wanting"行動も大きく変わってくることが述べられています.

バナナの叩き売りで煽られ,テンションが上ってくると買わずにはいられないのは,体内のドーパミン代謝が変わることと何かしら関係があるのかなと思いました.

また,バナナやチョコに限らず,巷の広告の多くはハイテンションなのは,この辺の生理学的な仕組みが関係しているのかもしれないと思いました.

なぜ歳を取ると好みが穏やかになるのか

若いうちは見るもの,聞くもの,食べるもの,随分刺激が強いものに惹かれていても,

どういうわけか年を取ってくると,好みが渋好みになってくるということはよくあると思うのですが,これは脳科学的にどのように説明することができるのでしょうか.

この論文は思春期の子供の脳活動について,報酬系を中心に詳しく調べたものです.

参考URL: Incentive-elicited brain activation in adolescents: similarities and differences from young adults.

一般に思春期の子どもは強い刺激に惹かれ,それゆえ酒や煙草,違法薬物,性行動に揺り動かされるといいますが

これを説明する仮説は2つあり

一つは思春期においては脳の報酬系の中心である腹側線条体が過度に活動するためだというものがあるそうです.

酒や煙草や異性を見ると,腹側線条体が過度に活動し,ドーパミンがじゃんじゃん出て,若者をそれに向かって突き動かす,という理屈です.

もう一つの仮説は,これとは真逆で,思春期においては腹側線条体が十分に発達しておらず,ちょっとやそっとの刺激では活動してくれない.それゆえ刺激の強いものにしか惹かれないというものです.

これは大人の脳だったら,100円や1000円でよいしょと腰を上げる気になるけれど,青少年の脳(腹側線条体)だと100円や1000円ではぴんとこず,10000円でなければ動き出さない,それゆえ,強い刺激だけを求めてしまうという理屈になります.

この研究では,お金を貰う(あるいは減らされる)ことを予想している時の脳活動を様々な条件で調べているのですが,

結論を述べると,後者の理屈,つまり青少年の報酬系(腹側線条体)の活動は未発達で,それを代償するために,強い刺激がきっかけにならないと行動しないのではないかということが示唆されています.

広告でも若い人向けの商品は刺激量が強く,大人向けのものは渋いものが多いような気がするのですが,

脳の働きを考えた時,年齢によって,動機づけのための刺激量を調整したほうが良いのかなと思いました.

北風の脳,太陽の脳

女手一本で商売を立ち上げ成功した私の祖母の名言は色々とあるのですが,そんなかの一つに「人生,損か得かの二つに一つしかない」というものがあります.

進化論的に考えても,動物行動学的に考えても,私達を動かすのは常に「損か,得か」,という考えであり,この考えに基づいて私たちはいろんな選択をしていますが,

論的に考えても,動物行動学的に考えても,私達を動かすのは常に「損か,得か」,という考えであり,この考えに基づいて私たちはいろんな選択をしていますが,

こういった損か得かという判断は脳の中でどのように処理されているのでしょうか.

この論文は,金銭ゲームを行っている時の脳活動について調べたものです.

参考URL: Dissociable systems for gain- and loss-related value predictions and errors of prediction in the human brain.

実験では

より大きな利益がでるようにカードを選ぶ課題(カードを選ぶと結果は0,1,5ユーロの報酬のいずれかが与えられる)

より少ない損失がでるようにカードを選ぶ課題(カードを選ぶと結果は0,1,5ユーロの損失のいずれかになってしまう)

という基本設定で,確率設定を様々に調整して行っているのですが

結果を述べると

儲けを求めてポジティブに予想して選択する場合には,脳の中でもドーパミンの影響を受けて人を興奮させる働きがある腹側線状体の活動が高まり

損失を避けるようネガティブに予想して選択する場合には,脳の中でも恐怖や不安に関わる扁桃体の活動が高まっていたことが報告されています.

つまり私たちは将来の損益を予想して様々な行動を選択しますが,

ジティブな予想で動く時は腹側線状体が,ネガティブな予測で動く時は扁桃体が,結果の予測やその後の行動を促す役割をなっているのではないか,

またドーパミンが減少するパーキンソン病患者では,何かを学習するときには報酬による動機づけよりも罰や損失による動機づけのほうが学習効率が高く,また治療によってドーパミンを増やすと逆の結果になることから

ドーパミンの状態によって脳活動のパターンが変化し,期待の仕方や行動選択も変わってくるのではないかということが述べられています.

やる気いっぱいの人に不安を煽ってもあまり効果がなく,

またネガティブな気分の人にポジティブな結果を示してもあまり効果がないということで

こういったことはマーケティングや教育にも応用できるのかなと思いました.

報酬による学習が成立するためには何が必要か?

パブロフの犬というとベルの音を聞いてよだれを垂らす愚かな犬のことを思い出しますが,

こういった現象は何も犬だけにかかわらず,私達ヒト全般にも広く見られる現象で

餌につられて何かを学ぶこの現象は強化学習(Reinforcement learningとも呼ばれています.

この強化学習が成り立つ上で重要な領域の一つとして,添付図に示した線状体と呼ばれる脳領域があります.

この線状体はエサやお金などの報酬に反応してドーパミンを放出し,脳全体の活動を調整して強化学習を促す働きがあるそうですが,

果たしてこの線状体というのは,エサやお金という報酬そのものに対して反応するのでしょうか,

それともエサやお金を得ようとして自分の身を投げ出すその瞬間に活動するのでしょうか.

この論文は,線状体と報酬の関係について調べたものです

参考URL: Modulation of Caudate Activity by Action Contingency

実験では,画面に提示される様々な記号に反応することで報酬がもらえる課題を様々な条件で行っているのですが,

ギャンブル的要素を取り入れて,自分の意思決定が受け取る報酬に大きく影響するような課題で線状体の活動が強くなること,

また線状体の活動が強くなるタイミングは報酬を得るよりも前の段階,つまり報酬を得ようとしてボタンを押した時であることが示されています.

スロットマシンでレバーを引く時は,報酬が出るよりも前の段階,つまりこのタイミングでレバーを引けば報酬がえられるに違いないと思って,レバーを引く,その最中にドキドキワクワクしたりしますが,

これと同じように,この実験でも報酬が出る前に,報酬をめざしてボタンを押す,その時に線状体が活動していたことが示されています.

強化学習が成り立つためには線状体が活動してドーパミンが放出される必要があるのですが,

このドーパミンを放出するためには,ただ報酬を与えるだけでなく,報酬をめざして何かをしようという意思決定と,

実際に何かをするというアクションが大事になってくるのかなと思いました.

なぜ高齢者は投資に失敗してしまうのか?

高齢者というと,一般的には人生経験が豊富で賢く,リスクの高い行動は控えるというイメージがあります.

しかしながら多くの研究は金融資産の運用については,高齢者のほうが大きな失敗をする傾向があることを示しているのですが,こういった現象は脳科学的にはどのように考えることができるのでしょうか.

この論文は,資産運用能力と加齢の関係について調べたものです.

参考URL: Variability in nucleus accumbens activity mediates age-related suboptimal financial risk taking.

実験では19歳から85歳の110名(女性54%)を対象に投資課題を行わせ,その時の判断傾向と脳活動について調べています(脳活動の測定を行ったのは54名のみ).

投資結果を見ると,高齢者になるほど高いリスクを取って失敗したり,混乱して失敗したりすることが多くなり,理性的な判断能力も低下することが示されています.

このような現象の背景には,脳の中の報酬系の中枢である側坐核の活動が,あるときは高くなったり,ある時は低くなったりして安定しないこと,

この不安定な側坐核の活動の背景には,加齢によってドーパミンの代謝が変化することが関係しているのではないかということが述べられています.

プロの投資家は中年に差し掛かると引退するという話を聞いたことがありますが,やはり投資は若い人のほうが勝率がよいのかなと思いました.

ドーパミンと依存症

過食遺伝子?

欲望の矛先というのは,ヒトにより色々で,身内も含め色んな人を見ていると,食べ物に対する欲望の強さというのは大分個人差があるような気がするのですが,これは生理学的にはどのように捉えることができるのでしょうか.

この論文は,過食に関連すると考えられている遺伝子について詳しく調べたものです.

参考URL: Genetically determined differences in brain response to a primary food reward

この研究では,TaqIA A1変異体という遺伝子を取り上げているのですが,この遺伝子は報酬系の主軸となるドーパミンの代謝を司る遺伝子に影響を与え,

このドーパミン代謝を介して食べ物に対する欲求を強くすると考えられているものなのです.

実験では同じ体型,性格,衝動性,教育歴,ミルクシェイクへの嗜好性といった属性を揃えた上で

TaqIA A1変異体を持っているヒトと持っていないヒトでミルクシェイクを摂取している時の脳活動を機能的MRIで調べているのですが

ミルクシェイクを摂取したあとの感想もほぼ同様であったにも関わらず,TaqIA A1変異体をもっている被験者は報酬系に関係する中脳や前頭眼窩皮質に応答増加が見られたことが示されています.

同じものを見ても,ある遺伝子を持っているヒトは強く惹きつけられ,そうでないヒトはそんなに惹きつけられないということもあるのかなと思いました.

依存症の根本的なメカニズムとは

世の中には様々な依存症があり,それはタバコだったりお酒だったりマリファナコカインだったりしますが,それらに共通するメカニズムというのは何かあるのでしょうか.

この論文は,依存症に共通するメカニズムについて詳しく説明したものです.

参考URL: Is there a common molecular pathway for addiction?

依存症の中核になるシステムとして

ドーパミンの分泌に関わる腹側被蓋野

やる気スイッチのような役割がある側坐核のつながりがあり

この二つの繋がりからなるシステムが長期の嗜癖物の刺激によって変化することが述べられています.

このシステムが回るためにはドーパミンやグルタミン酸といった情報伝達物質がとても大事なのですが,

こういった神経伝達物質のコントロール機構が崩れてしまうことで依存症状が生じるのではないかということで

なかなか難しいなと思いました.

賭けずにはいられない人たち:ギャンブル依存症の人の脳はどう違うか?

私たちは多かれ少なかれ何かに依存して生きていく生き物です.

それが仕事やチョコレートやちょっとののビールなら害も少ないのですが,度を超えてくると,依存症と名付けられたりします.

その依存症の中の一つにギャンブル依存症というものがあり,

彼らは時に借金を重ねてまで病的にギャンブルにのめり込んでしまうのですが,

こういった人たちの脳は,そうでない人達と比べてどのように違うのでしょうか.

この論文は,ギャンブル依存症の人の脳活動について調べたものです.

参考URL: Pathological gambling is linked to reduced activation of the mesolimbic reward system.

実験ではギャンブル依存症者12名と健常者12名を対象にギャンブル課題を行っている時の脳活動について機能的MRIを使用して調べているのですが

ャンブル依存症者では脳の奥深くにあってドーパミンの代謝に関係する腹側線条体

さらにもう一つ,理性と情動を統合して意思決定に携わる腹内側前頭前野の二つの領域の活動が低下していたことが示されています.

添付図は工事中に脳に鉄の棒が刺さって,社会性が著しく障害されたフィニアス・ゲージ(Phineas P. Gage 1823 - 1860)の脳損傷を再現したものですが,

図のように内側前頭前野が損傷されたのが,正常な意思決定ができなくなった原因ではないかと考えられています.

上図参考URL: https://www.google.com/search?sxsrf=ACYBGNSedPy4HjIFVzpQ25m1ezckqSG6Mg:1574282871194&q=phileas+cage&tbm=isch&tbs=simg:CAQSkwEJ7ffzHbqkSjwahwELEKjU2AQaAAwLELCMpwgaYgpgCAMSKMoOoQTnAegBiwzLDrULsgzDGfIEkCTfM44k7ySCLaEooyj3N_1szqzQaMEhtKgindPftdAHvg7-Fcr1X-xYm6g-aSGM3yQb7y-i5_1ELBQ3bqFnvqCugIZcT9dyAEDAsQjq7-CBoKCggIARIEFQ1G2Aw&sa=X&ved=2ahUKEwiZ18Da1PnlAhWs-GEKHWThBuEQwg4oAHoECAkQKA

たまに幼少期の交通事故で頭部を打ったあと,思春期を過ぎるくらいで社会性の面で苦労する子どもの話を聞きますが

ひょっとしたら内側前頭前野を含めた意思決定システムに何らかの機能不全(dysfunction)があるのかなと思いました.

まとめ

動物と植物の根本的な違いは前者は能動的に動けることにあるのですが、この能動性の根本にはドーパミンを中心とした報酬系があり、

またこの報酬系というのは、欲しい(Wanting)システムと好きだ(Liking)システムからなっており、この二つは似て非なるものになっています。

俗に「やめたいけれどもやめられない」というものがありますが、ひょっとしたらLikingシステムが働いていないのに、Wantingシステムだけが働いている状態かもしれません。

欲望という馬は私たちを背に乗せて遠くへはばたくこともできれば、私たちを空から振り落とすこともできます。

報酬系、ドーパミンといったものとは上手に付き合っていきたいものです。

これらの論文を日々の意思決定に役立ててもらえればありがたいです(欲望は常に理性を上回ってはしまうのですが・・・)

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