半側空間無視における右側への探索傾向とその病巣
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視覚性無視における以前に検索した部位の再検討:古い部位を新規と判断する際の右側頭頂部および前頭部病変の役割

 

左半側空間無視では、単に左側の認知がうまく出来ないだけでなく、右側に対して過剰に注意が働いていることが様々な研究から示されています。

こういった過剰な注意というのは、一度見たはずの右側の対象を繰り返し繰り返し見てしまうという傾向として示されます。

例えば線分抹消課題を行わせると、左側の見落としが多いのですが、これは検査時間を区切っても区切らなくても右側だけを繰り返しチェックしてしまい、

結果として左側の見落としが変わらないという現象にも見られます。

今日取り上げる論文は、左半側空間無視患者が右側を繰り返しチェックする傾向について脳の損傷領域と関係させて調べたものです。

実験ではディスプレイ上に示される図の中から、特定の標的を選ばせます。

被験者は初めて見たと思うものだけをチェックするのですが、左半側空間無視患者においては繰り返し繰り返し同じ標的を「始めて見た」という判断の元、チェックしてしまう傾向が見られたことが示されています。

またこういった傾向は右下前頭回と右頭頂間溝の損傷と関係していることも示されています。

左半側空間無視には右視野の空間記憶的な要素も関係しているのかなと思いました。

ポイント

・半側空間無視では左側の無視だけでなく、右側を繰り返し見てしまうという傾向がある。

・この傾向を判断する目的で16名の左半側空間無視患者を対象に視覚認識課題を行わせた。

・結果、左半側空間無視患者は右側の視覚対象を繰り返し、始めてみたものとして選択する傾向が見られ、この傾向は右下前頭回と右頭頂間溝の損傷と関連していた。

参考URL :Revisiting previously searched locations in visual neglect: role of right parietal and frontal lesions in misjudging old locations as new.

 

コメント

先日娘が2歳の誕生日を迎えた。

自宅にはテレビがないので、必然的に彼女の娯楽は絵本しかない。

最近は兄に買い与えた「ウォーリーを探せ」がお好みのようで、「おーりー、おーりー」と言って絵本を持ってくる。

大型の図版の中から二人でウォーリーを探索しては疲れた心と体を休ませる。

しかしながらなぜヒトは探索が好きなんだろう。

進化の過程をたどって考えれば、獲物や果実、木の実なんかを探索したり見つけたりすることで喜びや楽しみが沸き起こるような個体が生存確率が高く、生き延びてきたせいだろうか。

娘を膝に乗せながら、私達の欲望や意思というのはどこまで歴史から自由なんだろうと思ったりする。

私達はその性として生まれてから死ぬまで何かを探し求めてやまない。

私は、そしてあなたはなぜそれをするのだろうと思ったりです。

 

 

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