脳卒中患者の病態から考える:森を見る脳、木を見る脳
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右半球と左半球の視覚処理の違いとはなにか?

「木を見て森を見ず」という言葉がありますが、

世の中には確かに細かいことはよく見えるけれども大局的にものを見るのが苦手な人もいれば、

その逆で大局的に見たり考えたりすることが得意でもその逆は苦手な人というのがいます。

しかしながらこういった特性に脳はどのように関係しているのでしょうか。

今日取り上げる論文は、脳卒中患者を対象にある対象を小さい構成物(木)に着目するのか、あるいは小さな構成物から構成された大きな構成物(森)に着目するかについて調べたものです。

実験では右半球の脳損傷患者と左半球の脳損傷患者を対象に下の図のようなものを提示して模写させ、被験者の認知的特性について調査しています。

この図を見てもらえば分かるように、小さなZから構成されたMや、あるいは左半球損傷においては言語機能が影響する可能性を考慮して、小さな□からなる大きな△など、様々なタイプの階層的に構成された図形を見せて模写をさせています。

結果を述べると右半球損傷患者は小さい図形に気が取られる傾向があったのに対し、左半球損傷患者は大きい図形に気が取られる傾向があったことが示されています。

この結果から筆者らは右半球は視覚処理において比較的空間的周波数の低いラフな視覚情報を処理することに関わり、左半球は空間周波数の高い目の細かい視覚情報を処理することに関わるのではないかとういことが述べられれています。

この空間周波数というのは以下の図を目を細めたり(マリリン・モンロー)、普通に見てもらえば(アインシュタイン)分かると思うのですが

上図参考URL

ある長さの中にどれだけ線が織り込まれているかを示す指標なのですが、この目が荒い情報(マリリン・モンロー)については右半球が、目の細かい情報(アインシュタイン)については左半球が処理を担っているのではないか

またこのような特性は、単に右半球が包括的な情報処理、左半球が分析的な情報処理という概念とは異なるものではないかということが述べられています。

しかしながらseeやfindの言葉が示すように、見ることと理解することはどこか密接につながっているような気がして、実際のところはどうなんだろうなと思いました。

参考URL:Hemispheric specialization of memory for visual hierarchical stimuli.

 

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