集団的知性に大きな影響を持つ要因とは?
「三人よれば文殊の知恵」というものがありますが、私達は一人ひとりで問題を解決するよりも、皆で集まって考えたほうがうまくいくことがあります。
こういった現象は心理学では集団的知性と呼ばれていますが、おもしろいことにこの集団的知性に影響を与えるのは個々人の頭の良さではなく、個々人のコミュニケーション能力であることが報告されています。
このコミュニケーション能力を図るテストとして、Reading the Mind in the Eyes (RME:「眼の中にあるココロを読むテスト」)と呼ばれるものがあり、これは写真に示される目を見てその気持を当てるテストなのですが
このテストの平均点が高いほど、集団的知性も高くなり、グループの問題解決能力が高まることが報告されています。
しかしながら、私達がココロを読むのは何も直接対面しているときではなく、近年ではメールやチャットなどで行間から相手の心を読み込まなければいけないこともあります。
メールやチャットでは相手の表情は見えませんが、果たしてこのRME(「眼の中にあるココロを読むテスト」)はオンラインでの問題解決能力にも影響を与えるのでしょうか。
オンラインで心を読む能力:Reading the Mind in the Eyesと問題解決能力
今日取り上げる論文は、このRMEがオンラインでの問題解決能力と関係するかどうかについて調べたものです。
実験では272名を対象に4人人組とし、それぞれのチームのRME平均点と直接アタマを突き合わせての問題解決能力、チャットを使ったオンラインでの問題解決能力の関係性について調べています。
この集団的知性を図るために用いた課題は
・創造性課題:ブレインストーミングを必要とするような新規なアイディアを生み出す課題
・選択課題:図形や数字、世論など妥当なものを選ぶ課題
・実行課題:集団で息を合わせて正確にタイピングさせるような課題
などですが、これらの課題をオンライン及びオフラインで行い、RMEの点数とどのような関係にあるかについて調べています。
結果を述べると、相手の顔や目の見えないオンライン課題であってもオフライン同様にRMEの平均点が高いチームほど高い成績であったことが示されています。
眼を観る力というのは、見えないものを観る力なのかなと思ったり、ネットで仕事が完結する時代であっても、やはり相手の心を読み込む能力というのは大事なのかなと思いました。