イメージにおける半側空間無視の神経基盤とは?
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男性における左視野もしくは右視野の実際の視覚刺激もしくは想像上の視覚刺激における空間的判断の基盤となる神経メカニズム

半側空間無視に関わる文献を読めば当たる話に、ミラノの大聖堂を思い出させると左半分のイメージが抜け落ちていたというものがあります。

こういった話から、半側空間無視患者では実際に見える景色だけでなく想像上の頭の中のイメージにおいても同じような症状が起こっているということが考えられますが、

果たして実際に景色を見ておこる半側空間無視と想像上の半側空間無視というのは脳活動は同じものなのでしょうか、違うものなのでしょうか。

今日取り上げる論文は、時計の認知課題を通してこの違いについて調べたものです。

実験では時計の針の位置を調整して

左側の視野だけに針があるもの(6時40分や8時45分など)と右視野だけに針があるもの(1時25分や5時20分など)の2つの条件で

時計盤(視覚刺激課題)もしくはデジタル表示(想像課題:被験者に時計盤として想像させる)で示し、その時の脳活動について機能的MRIを用いて調べています。

結果を述べると明らかな有意差としては示されなかったものの、ある特殊な統計的処理を行うと

右視野条件では想像課題において右半球優位の活動を示したことから

実際の視覚刺激と視覚的イメージは異なる神経基盤が関係しているのではないかということが述べられています。

臨床場面の半側空間無視評価でも、この2つを分けて評価して考えることも病態を考える上で有用なのかなと思いました。

 

参考URL :Neural mechanisms underlying spatial judgements on seen and imagined visual stimuli in the left and right hemifields in men.

【要旨】

我々は、左右の半視野における視覚的および想像的刺激に関する空間的判断に関与するニューラルネットワークを調べた。 fMRIを用いて20人の健康な男性の右利き者をスキャンした。精神時計テストの適応において、被験者は、所与の時間(例えば「12:20」)に視覚的に提示される時計針と想像される時計針との間の角度が> 90度であるか<90度であるかを判断した。時計の針によって形成される角度は常に時計の文字盤の左右どちらかの半側空間上にあり、2×2の要因デザイン(視覚的イメージ「V」、想像上のイメージ「I」)と空間的な半側空間への注意(左) L “、(右)” R “)で実験を行った。I> Vの比較では、両側の上頭頂、前頭前野および 前背側帯状皮質を含むニューラルネットワークの関わりが示された。右上頭頂皮質はRVおよびLVの両方の間に活性化されたが、左上頭頂皮質はR-Vでのみ活性化された。 RI対LIのコントラスト(およびその逆)は、その活性化の程度について有意差が見られなかった。しかしながら、マスキング手順および側性指数の計算により、RIは右半球よりも左半球において広範囲の賦活が見られたが、LIは両半球で対称的な賦活が示された。我々のデータはこのように視覚刺激と想像刺激の両方の空間処理中に脳活動に半視野特異的な非対称性があることを確認している。しかしながら、我々のデータはこれらの非対称性はそれほど明確ではないものの、後者においては異なる性質のものであることを示している。全体として、我々の調査結果は表象的および視空間的無視が常に共起するわけではないことを示す神経心理学的データと合致するものである。

コメント

人生何をやるかよりも何をやらないかのほうが大事なような気がする(一発当てるための努力よりも失敗やロスを避ける努力のほうがコスパは高いような気がするので)。

私がやらないと決めていることは色々あるが、女性の髪型が変わったことを本人に伝えないというものがある。

なぜだかわからないが、私が髪型の変化に気づくのは決まって髪を変えてからきっかり2週間後で

たとえ褒めたとしてもその無関心ぶり(気づけないだけで決して無関心なのではないのだけれども)が与えるインパクトのほうが大きいからだ。

私の場合は極端にしても、見るという行為は記憶依存的で思い込みの強いトップダウン的なところがあるような気がする。

子供のようにかけるようになるのに一生かかったという画家がいるけれど、

あるものをあるがままに見るというのは、本当は相当難しい芸当なのかなと思います。

多かれ少なかれ人は思い込みによる認知の歪みから逃れることが出来ず

それゆえコンサルティングのような仕事もあるのかなと思ったりです。

 

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