女性の匂い:嗅覚排卵キューに対する男性のテストステロン反応
男性というのは単純に出来ていて、女性の前だとパフォーマンスが上がったりすることがあります。
人がやることはビジネスから芸術、執筆、作曲、お化粧、おしゃれ、筋トレなど多岐にわたりますが、
動物生態学の立場から考えれば、ヒトも動物もその行動原理は一緒であり、以下に自分の子孫を増やしていくかというのがあらゆる行動の根っこにあるかと思います。
男性らしい行動を促すホルモンにテストステロンというものがありますが、このホルモンは置かれた状況により大きくその分泌を変え、個体の行動を左右することが知られています。
果たして生殖確率を高める状況、例えば近くにいる女性が排卵日であるような場合、このテストステロンの濃度はどのように変わるのでしょうか。
今日取り上げる論文は、男性に排卵日の女性のTシャツを嗅がせた時のテストステロンの濃度の変化について調べるというマニアックなものです。
実験では38名の男子大学生を対象に、18-19歳の女性のTシャツの匂い(排卵日近くのものと排卵日から離れた日のもの)を嗅がせ、その時の匂いの好感度と唾液中のテストステロンの濃度について測定しています。
結果を述べると、やはり排卵日近くのTシャツの匂いを嗅ぐことで匂いの好感度も高まり、テストステロンも高まることが示されています。
なんだか人間って根本的な設計が実験室のラットとあんまり変わんないんだなと思いました。
参考URL: Scent of a woman: men’s testosterone responses to olfactory ovulation cues.
ポイント
女性の排卵日の匂いがテストステロンの濃度を高めるかどうかについて検証を行った。
実験では男性参加者に排卵日の女性のTシャツの匂いを嗅がせ、排卵日以外のTシャツの匂いを嗅いだときとのテストステロン濃度の違いについて調べた。
結果、排卵日の女性のTシャツの匂いを嗅いだ男性は、有意にこの匂いをいい匂いと判断し、テストステロンの濃度が高まることも示された。
補足コメント
どうにもやりきれないくらい人間は単純な側面があるなと思う。
政治にしろ商売にしろ、おそらく抑えるべきはこの人間の単純な性質なのかなと思ったり、
ナチス帝国で繰り広げられたプロパガンダやその在り方は、この単純さを抑えたところにあったのかなと思いました。
群れること、増やすこと、生き延びること、
こういった基本的は行動傾向はいい方向へ向かえば、家族愛やコミュニティへの愛情へとつながるし、
変な方向へ向かえば、ファシズム(束とかまとまると言う言葉が語源ですよね)一直線にもなる。
自分が持つ狂気、ヒトとして生まれた宿命を理解するほうが、世界をよりよい場所にする上で大事なのかなと思ったりです。