本当にテストステロンは暴力に関係するのか?
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テストステロンは本当に暴力に関わるのか?

研究というのは、似たようなテーマの研究でも必ずしも同じ結果が出るとは限らず、

場合によっては正反対の結果が出たりすることがあるので、ある一つの研究結果だけを信じるというのは少々無理があります。

それゆえ、いろんな研究のデータを取りまとめ、もう一度本当のところはどうなのかを調べる方法はメタアナリシスと呼ばれています。

男性ホルモン、テストステロンの役割についてはいろいろと矛盾する見解が多く論争も多いのですが、

今日取り上げる論文は、テストステロンに関してなされたメタアナリシスに対する反論論文になります。

反論の対象になったのは、テストステロンについてなされたあるメタアナリシス論文なのですが、

この反論論文によると

・このメタアナリシス論文の対象となった論文は二次情報源が含まれており、その結果論文の重複が見られる

・統計方法や研究特性の評価方法も問題がある

・以上の問題を考慮し再度同じ論文群をもとに再統計を行うと、この論文の中で述べられているほど、テストステロンと暴力行動の結びつきは高くなく

・また若年者が成人と比べてテストステロンと暴力行動の関連が高いということもなく

・また午後のテストステロンのデータのほうが朝のデータよりも暴力行動を説明しやすいということもない

ということが述べられています。

メタアナリシスだから信頼できるというわけではなく、メタアナリシスがどのような方法で行われているか十分注意しなければいけないのかなと思いました。

参考URL:Testosterone and aggression: A reanalysis of Book, Starzyk, and Quinsey’s (2001) study.

【要旨】

本稿ではBook、Starzyk、およびQuinseyによるテストステロンおよび攻撃性のメタ分析についての批判が提示され[Aggression and Violent Behavior 6(2001)579]、それらのデータの再分析の結果について報告を行う。我々は彼らの分析で以下の問題を特定した:最初の文献レビューでは一次よりもむしろ二次情報源が使用されていた。省略されるべきであった15の研究が含まれた。効果の大きさを計算するための決定規則がなかったため、これらのほとんどで不正確さが生じた。カテゴリーを比較するために使用された統計的検定は、低検出力であった。研究特性のコーディングは不正確だった。これらの問題を修正した再分析は、より低い平均加重相関を示した(報告されたr = .14の代わりにr = .08)。本発明者らのカテゴリー別比較からの結論は、Book らのものとは異なっていた:それらの肯定的な所見(年齢の低下;午後のサンプルよりも朝の相関が低い)のどちらも確認されなかった。性別、年齢、犯罪者の地位、およびホルモン測定の根拠について有意差があることがわかった。これらはすべて元の分析のものとは異なっていた。

コメント

ファクトを明らかにするのが科学とはいうけれど、

理詰めで厳密に考えてファクト(事実)というのは何なんだろうという気もする。

難しいです。

 

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