自閉症スペクトラム障害における感覚処理の問題
自閉症スペクトラム障害の特徴として、しばしば言葉の発達の遅れや対人コミュニケーションの困難さがあげられます。
一つの疾患を単一の原因で説明するのは無理だとは思うのですが、それにしてもこれらの自閉症スペクトラム障害の症状の中核にあるものというのはどのようなものなのでしょうか。
今日取り上げる論文は、自閉症スペクトラム障害と感覚処理の問題についての総説論文になります。
自閉症スペクトラム障害における感覚処理の問題としては
感覚が過敏であったり、あるいは感覚が鈍かったり、さらに様々な感覚を統合することが難しかったりというものがあるのですが、
こういった症状(症状という言葉を使うのは抵抗があるのですが)は、自閉症スペクトラム障害を説明する症状ではなく、
むしろ様々な症状の中核にある根本的な問題ではないかということが述べられています。
というのも言葉を覚えるのも視覚情報や聴覚情報が適切に知覚されることで成り立ちますし、
人とのコミュニケーションも同じように、まずは情報の入口として感覚の適切な入力、統合があって成り立ちます。
それゆえ自閉症スペクトラム障害における感覚処理のさまざまな問題が、上の図に示すように広範な高次機能に影響を及ぼしているのではないかということが述べられています。
私自身、何が良くて何が悪いかというのは判断しかねるところもあり、「普通」であることを強いる社会もどうかと思うのですが、
互いに理解し、歩み寄り、ギャップを埋める制度や道具というのがあってもよいのだろうなと思いました。