「恐怖、恐怖症、心構え:恐怖と恐怖学習のモジュール発達へ向けて」
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恐怖感情と恐怖症:そのメカニズムとは?

今日取り上げる論文は、ヒトの恐怖の仕組みについて調べたものです。

閉所恐怖症や爬虫類恐怖症、高所恐怖症だとかなんとか恐怖症というのはいろいろだと思うのですが、一つのある特徴があるそうです。

それは人類まで進化してくる過程で生存を脅かす対象が恐怖症の対象になりやすいということです。

たしかに考えてみれば蛇や高所より、自動車の方が危ないものにもかかわらず自動車恐怖症というのはあんまりきかない。

このように古来、個体の生存を脅かしていたような対象というのはすでに脳の中に恐怖対象としてインストールされていて、何かの拍子に発動するそうです。

またこのような恐怖症というのは強力で、後天的に学習された自動車恐怖症のようなものと比べてもなかなか弱くなりにくいそうです。

ほかの特徴としては、たとえば怖さというのは意志の力で制御できないだとか、怖いものを見てからドキドキしたり体がきゅっと縮こまったりといった反応は一つのパッケージのように一揃いがひとまとまりになっていて、ここに認知的な過程がつけこむすきがないとか、いろいろだそうです。

このように恐怖というのは進化に伴って発達してきた一つの機能的モジュールで、高次の判断をつかさどるような認知的なモジュールとは独立したものでははないかということが述べられています。

【要旨】

「恐怖の惹起と恐怖の学習にかかわるモジュールの発達に関して以下の4つの特徴が考える。(a)恐怖モジュールは進化的に生存に恐怖となっていたような対象に対してより感受性が高い (b)この恐怖モジュールの活動は自動的になされる (c)恐怖モジュールは思考の影響をほとんど受けない (d)この恐怖モジュールは扁桃体を中心とする分散的な回路となっている。これらの根拠となるヒトとサルを対象にした様々な研究を取り上げる。この恐怖モジュールは恐怖学習に関する情動レベルを調整し、この活動は認知学習とは独立した形で成されると考えられる。」

参考URL:Fears, phobias, and preparedness: toward an evolved module of fear and fear learning.




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コメント

よく赤ん坊ははいないいないばあを喜ぶというけれど

赤ん坊にとって目に見えないというのは存在しないことと一緒で

現れる→存在しない→現れるの過程での対象が一瞬消えるスリルを楽しんでいるという話を聞いたことがある。

自分の子供の話で恐縮だけれども、彼はよく一人いないいないばあをする。

ちらっと見てひょいっと顔をそむけて、一瞬ふりかえるともう一度見てにこにこと笑う。

秋田の実家に帰ってきているのだけれども、見慣れない祖父に抱かれると号泣するくせに、怖いもの見たさでやたらとちらちらと祖父に

視線を送り、祖父の気持ちを振り回す。

お化け屋敷にいったりバンジージャンプをやったりヒトのやることはやはり不思議で

恋愛依存症とかギャンブル依存症とか、こういうのはヒトはドキドキする感じに何らかの快感情を見出すのか。

どきどきというよりは適度な不確実性に対して喜びを感じるようなものだろうか。

進化心理学的な考え方をすれば、適度な不確実性に対して喜びを感じられるような個体が生存競争を生き残ってきたということになるんだろうか。

でもこういう考え方もじゃんけんの後出し、理由の後付けみたいでなんだかなあとも思います。

一人いないいないばあでもないのですが、適度な不確実性を自分で設定して楽しい一年にしていきたいと思います。

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