チーム力と目を読み取る力の関係とは?
人間というのはなかなか一人では生きていくことが難しい動物です。
それゆえ仲間を作って共同体でいろんな課題に向かっていくことが多いのですが、職場のことを考えても共同体の課題解決能力というのは高いものから低いものまで様々です。
課題解決能力が高いチームにはどのような特性があるかという研究を一度紹介しましたが、その論文によるとチームの力というのは
1.構成メンバーの空気を読む能力が高いこと
2.女性がある程度含まれていること。
3.オンラインではなく、実際にリアルに顔を突き合わせた状態で仕事をすること。
4.メンバーの属性に適度な多様性が在ること。しかしながらこの多様性は広すぎるとかえってパフォーマンスが落ちる逆U字型の特徴があるため、適度であること。
5.メンバー間の立場が平等で、コミュニケーションしやすい雰囲気であること。
6.過剰なリーダーシップがないこと。
という6点が大事になってくるのですが、
さて、この一番目にあげられている「空気を読む能力」というのはどのように図ることができるのでしょうか。
空気を読む、言い換えれば他人の考えや感情を読み取る上で重要なのは、他人の目を見てそこから情報を読み取る力になります。
他人の目を見て怒っているのか、焦っているのか、急いでいるのか、喜んでいるのか、そういった様々な情報を的確に捉えることで他者とのコミュニケーションがスムーズになります。
自閉症スペクトラム障害ではしばしばこの「目を観る力」が十分でないことが社会生活を送る上でハンディキャップになりますが、この目を観る力を測るテストとして、Reading the Mind in the Eyes (RME)というテストがあります。
このReading the Mind in the Eyes (RME)というのは様々な目の写真を見せ、二択式で(例として怒っている/喜んでいるなど)写真の目がどのような感情を表しているのかを答えさせ、それでもって目を観る力を評価するようなテストになります。
自閉症スペクトラム障害を「目を観る力」テストで鑑別可能か?
今日取り上げる論文は、このReading the Mind in the Eyes (RME)というテストを改良したものを使って、健常者とアスペルガー症候群および高機能自閉症の区別ができるかについて調べたものです。
従来の検査の問題点として、問題が比較的簡単でアスペルガー症候群と健常者の区別がしづらかったことがあるのですが、この改良版RMEでは、これを改善するために
- ・二択式から四択式に変更
- ・問題数を25問から36問へ増加
- ・感情の判別を難しいものにする(喜んでいる、悲しんでいる→怒っている、悲しんでいる、焦っている、困っているなど)
- ・課題が女性中心の写真だったものを男女同数の割合とする
などといった改良が行われ、これによって鑑別精度を上げることを試みています。
こういった改良の結果、健常者とアスペルガー症候群、高機能自閉症の鑑別がより正確にできるようになったことが報告されています。
この検査により自閉症スペクトラム障害の早期の判別と早期の介入が可能になるのではないかということが述べられています。
様々な検査方法があるのだなと思いました。