
はじめに
コミュニケーション能力は高いに越したことがありませんが、その程度には個人差があるのも事実です。
では、この個人差は脳科学の観点からどのように説明できるのでしょうか。また、コミュニケーション能力を向上させるためには何ができるのでしょうか。
本記事では、コミュニケーション能力に関わる脳の働きやその改善方法について、詳しく解説していきます。
コミュニケーション脳の3層モデル
コミュニケーションは自分ひとりで完結するものではありません。自分と相手が互いにやり取りする中で生じるものになります。
そう考えれば、コミュニケーションに関わる脳活動とは、相手の脳とうまくやり取りできるものとして捉えることもできるのでしょう。
脳活動の測定については長らく一人の脳(単独脳)の活動を対象にしたものがほとんどでしたが、近年測定技術の進歩により、2者間、3者間の脳活動を同時に測定できるようになりました。
この計測技術はハイパースキャニングと呼ばれており、この方法を使えばコミュニケーションを行っている2者間の脳の関係を調べることができるのです。

Czeszumski et al., 2020, FIGURE 1B
ある総説論文では、コミュニケーション中の脳活動を3層構造としてモデル化しています(Jiang et al., 2021)。
このモデルは、コミュニケーション中に2人の間で起こる「脳の同期現象」を基盤としており、その同期が低次から高次へと3段階で進むことを示しています。
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