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テストステロンが多いから偉くなるのか、偉くなるからテストステロンが多くなるのか?

テストステロンというのは男性ホルモンの一種で、いわゆる「男らしさ」に関わるホルモンと言われています。

男らしさが何かというのはまた難しい話だとは思うのですが、少し前までの学説ではテストステロン値が高い男性というのは攻撃的で暴力的という解釈がありました。

しかしながらテストステロンの役割というのはこのように単純なものなのでしょうか。

今日取り上げる論文は、テストステロンについてなされた研究の総説論文になります。

この論文によると、テストステロンというのは必ずしも暴力性につながるわけではなく、本質的には地位を求める行動パターンに関係しているのではないかということが述べられています。

つまり暴力行動はテストステロンの十分条件であっても必要条件ではないということです。

またテストステロンと行動の関係を示すものとして2つの立場があるそうです。

一つは基礎モデルというもので、ある時点でテストステロン値で行動パターンを予測しうるというものです。

すなわちテストステロン値が高い人は、攻撃的で結婚に向かずチャレンジングな行動を取る傾向が高いと考えるのが基礎モデルになります。

これに対して相互モデルというのは、行動や状況がテストステロン値を変えるというものです。

テストステロンは生存を巡った競争があるような環境下で高くなる傾向があるのですが、

これが結婚して安全な環境が確保されるとテストステロンが減ったり、

あるいは出世してより強い権力を得られるとテストステロンが増えるのですが、左遷して地位を失ったりするとテストステロンが減ったりするというものです。

男性ホルモンテストステロンというのは結構デリケートにできているのだなと思いました。

参考URL:Testosterone and dominance in men.

【要旨】

男性では、高レベルの内因性テストステロン(T)が、他の人より優位に立つことを目的とした行動を促進するようである。支配的な行動が攻撃的で、その意図は明らかに他人に危害を加えることである場合もあるが、支配的であることが必ずしも攻撃的な形で表現されるわけではない。支配的な行動は、権威に対する反抗や軽視を含む反社会的行動の形をとることがある。おそらく男性の基礎的なTレベルを示す、ある時点でのTの測定値は、これらの支配的行動または反社会的行動の多くを予測しうる。 Tは行動に影響を与えるだけでなく、行動そのものにも反応する。高い地位を争う行為は、2つの方法で男性のTレベルに影響を与える。第一に、あたかもそれが差し迫った競争への予期される反応であるかのように、Tは挑戦に直面して上昇する。第二に、競争の後、Tは勝者で上昇し、敗者で減少する。したがって、Tと支配的な行動の間には相互性があり、それぞれ相互に影響を及ぼす。我々は、Tレベルが変動し、行動の原因と結果の両方として作用する相互モデルと、Tレベルが行動に影響を与える持続的な特性であると想定される基礎モデルとを対比する。 10年にわたって4回データが収集された空軍の退役軍人に関する珍しいデータセットは、Tと離婚の関係の説明として基礎と相互モデルを比較することを可能にする。我々はこれらのモデルの社会学的意義について論じる。

 

コメント

体が弱いので、ここ半年筋トレを始めた。

不思議なもので同じメニューでもやりはじめのチャレンジングな時期というのは、あきらかに元気になってメンタルが変わってるなという感覚があるのだけど、

慣れてきてチャレンジングな感覚がなくなってくると、その効果もあんまりパッとしない。

チャレンジングな感覚というのがテストステロンを増やすのに大事なのかなと思ったり

今現在のようにチャレンジングであり続けることを求める社会というのも、どこか健康ではないのかなと思ったりです。

 

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