半側空間無視が出る患者と出ない患者の違いはどこか?
半側空間無視は一般に右半球損傷(左片麻痺)で出現しやすいのですが、
必ずしも右半球損傷であれば半側空間無視になるというわけでもありません。
しかしながらこの半側空間無視というのは脳のどのへんの領域の損傷で生じやすくなるのでしょうか?
今日取り上げる論文は、半側空間無視患者の損傷領域について詳しく調べたものになります。
対象になったのは右半球損傷患者で半側空間無視のあるもの(皮質及び皮質下損傷11名、皮質のみ10名)、半側空間無視のないもの10名を対象に損傷領域について調べているのですが、
総じて半側空間無視を生じるものは
・縁上回
・上縦束
・上縦束につながる視床領域
に損傷があること
また右半球損傷であっても半側空間無視を生じないものは損傷領域は皮質脊髄路が主であったことが示されています。
視覚認知に関わるネットワークは広範であり、結構なボリュームの領域が半側空間無視に関わっているのだなと思いました。
参考URL:The anatomy of neglect without hemianopia: a key role for parietal-frontal disconnection?
【要旨】
半盲症状のない右脳損傷患者における慢性半側空間無視の解剖学的相関関係を調べた。 大脳基底核または視床病変の関与とは無関係に、半側空間無視患者は、上縦束(SLF)につながる皮質下領域において損傷領域重複(maxov)を有した。 皮質下核の病変のない無視患者は、縁上回(SmG)の最端部に追加の損傷領域重複を有していた。半側空間無視症状のない患者は、SLFまたはSmGが関与していない皮質脊髄路に損傷領域重複を示した。 これらの知見は、半側空間無視の病因における頭頂 – 前頭領域の離断が果たす役割について注意を喚起するものである。