半側空間無視を考える:健常者から見る課題の難易度・集中力・認知の偏り
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注意力は空間認知に影響するか?

脳卒中では手足が麻痺する症状だけでなく、高次脳機能障害という症状を伴うことがあります。

これは普段普通にできている様々なこと、例えば着替えたり、適切な場面で適切に振る舞ったり、なにかに注意したりといった高次の認知機能が様々に障害される病態ですが、

臨床場面で最も頻繁に遭遇するものとして半側空間無視というものがあります。

この半側空間無視というのは日常生活全般に影響するものなのです。

この半側空間無視というのは注意機能に深く関わっており、それゆえ注意機能の本態がある右半球の損傷でより強く出やすくなることが考えられているのですが、これは健常者を対象とした場合

今日取り上げる論文は、健常者を対象に空間認知の偏りが課題の難易度と集中力でどのように変わってくるかについて調べたものです。

実験では被験者に左右対称に配置されたアルファベットを一瞬提示し、どんなアルファベットがあったかを答えさせるのですが、

1)ぱっと見て答える

2)二重課題(音認知もしくは二重言語認知)

で左右に提示された文字の認知がどの程度偏りがあるかについて調べています。

一般に健常者の空間認知は左側へ偏ることが知られており、この実験でも開始当初は左側へ偏っていることが示されています。

しかしながら課題の回数が増えていくに従い徐々にこの左側への方よりが低下していくことが示されています。

こういった減少が起こる原因として、これは単調な課題を続けていくうちに注意力が低下し、このことが空間認知に影響していったのではないかということが述べられています。

半側空間無視の患者が病棟を歩くようになると最初のうちはいいのですが、慣れてきたときくらいにインシデントを起こしやすいのはこういった慣れによる注意力低下も影響しているのかなと思いました。

 

 

参考URL:The effects of time-on-task and concurrent cognitive load on normal visuospatial bias.

 

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