注意における2つの種類:持続的注意と刺激への反応としての注意
子供を育ててよく口にする言葉に「ちゃんと注意しなさい!」というものがありますが、
この注意というのは具体的にはどのようなものなのでしょうか。
一つは何かに集中できること、じっと本を読んだり、気が散らずおもちゃの片付けができたりということでしょうし、
もう一つは街中で自転車を走らせている時に横から来る車にきちんと気がつけるという、いわば気付きとしての注意だと思うのですが、
この2つの注意というのは脳の中ではどのような仕組みで処理されているのでしょうか。
今日取り上げる論文は、この2つの注意システムについてある課題を行わせ、その時の脳活動の違いについて調べたものです。
実験では6名の健常者に画面上に現れる青色もしくは赤色の”B”もしくは”G”(B,B,G,G)のいずれかを連続的に見せ
・赤色のBにだけ反応してボタンを押す(選択注意課題)
・すべての刺激に反応してボタンを押す(持続的注意課題)
という課題を行わせ、この時の脳活動についてPET(陽電子放射断層撮影)を用いて、その時間経過を追って調べています。というのも持続的注意課題では時間経過と共に課題に慣れることで馴化作用が起こることが考えられたからです。
この2つの課題と、それぞれの時間経過における脳活動の違いを調べてみると
結果として選択注意については右半球の前帯状皮質と前頭前野、
持続的注意については両側の背外側前頭前野と下頭頂葉、視床が関与することが述べられています。
臨床場面では右半球損傷で左半側空間無視が生じますが、やはりこれは根本的には「気付き」に関わる機能が右半球に偏っているために起こるのかなと思いました。
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