チームのパフォーマンスはどのような要因に影響されるか?
職場というのはいろいろで、働きやすくて皆が積極的に問題解決に取り組んでいるところもあれば、
朝からお葬式のような雰囲気で、問題解決能力も低いところもあったり様々です。
仕事をするにあたって、あなたが所属するチームの問題解決能力が高いことに越したことがないのですが、果たしてチームの力というのはどのような要因に影響されるのでしょうか。
今日取り上げる論文は、チームが対処する問題の難しさとチーム内における人間関係の緊張感、そしてチームのパフォーマンスとの関係についての研究を取りまとめて調べたものになります。
課題の難しさと人間関係の緊張感はチームにどのような影響を与えるか?
チームに与えられた課題の難しさがチームのパフォーマンスにどう影響するかというのは、なかなか判断が難しいところだと思うのですが、
ちょっとした課題の難しさ、これは少し頑張れば達成できそうな課題というのはチームのパフォーマンスを高める可能性があります。
これは卑近な例ですが、年末の忘年会の出し物をしなければいけないときには、チームの中でもまとまりがでてパフォーマンスも上がりそうですし、
職場の業務改革もドラスティックなものではなく、段階的なカイゼン活動のようなものであればパフォーマンスがあがるということがあるでしょう。
しかしながらチームに与えられた課題があまりに難しすぎると本来チームが持っている力を出しきれずにパフォーマンスが落ちてしまうというのも予想できるかもしれません。
人間関係の緊張感については、これはないに越したことがないとは思うのですが、よく映画やドラマではチームの中の肌の合わない二人が葛藤し戦いながら、結果として化学変化を起こすように強いチームになるという話もあるので、
一概に人間関係の緊張感がチームのパフォーマンスを落とすとも言い切れないような気がします。
今日取り上げる論文では、こういった課題の難しさや人間関係の緊張感がチームのパフォーマンスに与える影響について、様々な研究のデータをひとまとめにして調べています。
この論文によると、従来の知見として
・課題の難しさはそれが適度なものであればチームのパフォーマンスを上げることができる(難しすぎるとチームのパフォーマンスが下がる)
・人間関係の緊張感は常にチームのパフォーマンスを下げる
ということが述べられていたのですが、様々な研究データの統計をとってみると
実際には課題の難しさも人間関係の緊張感も全体としてはチームのパフォーマンスを落とす(負の相関がある)ことを示しています。
しかしながらここの研究を見てみるとやはり例外というのがあり、ときに課題の難しさがチームのパフォーマンスを上げることもあるのですが、はたしてどのような条件の時にこういったことがおこるのでしょうか?
課題の難しさがチームのパフォーマンスを挙げる条件とは?
この論文によると、課題が難しくてもチームのパフォーマンスが上がる条件として考えられているものとして
・チームの中での人間関係の緊張感が少ないこと
・協力的なチーム文化であること(メンバー間が競争的な関係にないこと)
・納得できない意見に対して批判的な意見が少ないこと
・チームリーダーが優れていること、具体的にはチームメンバーが問題解決ができるように手助けできる能力があること
ということが述べられています。
個人的には、チームリーダーの資質によって、チームの人間関係の緊張感や雰囲気というのが変わってくるので、チームリーダーがいちばん大事なのかなと思ったり、
成果主義的な給与・人事査定が必ずしも生産性を挙げないのはこの辺にあるのかなと思いました。
参考URL:Task versus relationship conflict, team performance, and team member satisfaction: a meta-analysis.