ヒトにおける唾液テストステロン、気分、および脅威に対する選択的注意の間の相関
漢は戦う生き物です。
恐れから目をそらさず、むしろそれに向かって戦いを挑む生き物で、
それゆえ思春期真っ盛りのやんちゃな青少年は目があった、合わないで諍いに成ることが多いと思うのですが、
なぜ漢は怒りの表情に怯えずむしろそれを見に行くのでしょうか。
今日取り上げる論文は、男性ホルモン、テストステロンの濃度が気分や怒り表情への反応にどのように影響するかについて調べたものです。
様々な研究からテストステロンの濃度が高い個体ほど、社会的地位や支配力を目指す傾向が強いことが示されているのですが、
気分面を見るとやはりテストステロンの濃度高いほど、怒りや緊張の程度が高く、
また怒り表情を提示した場合も、そこから目をそらさず、むしろ注意が向いてしまうことが示されています。
漢同士のにらみ合いというのはテストステロンの濃度比べなのかなと思いました。
ポイント
成人男女32名(男性16名、女性16名、平均年齢22.0 ±4.7歳)を対象に唾液中のテストステロン濃度を測定し、気分と怒り表情に対する反応について調査した。
テストステロンの濃度が高いほど気分的には怒りや緊張の度合いが高く、怒り表情を示したときも目をそらさずに注意を向ける傾向が示された。
テストステロンの濃度は気分や驚異刺激に対する反応に影響することが考えられた。
補足コメント
これとは反対にテストステロンの濃度が低い人は、怒り表情が示されるとそこから目をそらして注意を向けないことが示されています。
怒った顔やもしく怖いもの、脅威的なものに注意が向く、むしろ接近するというのは長期的に見れば生存確率を落とすような気がするのですが(アンダーグラウンドな人は平均寿命が短いという話を聞いたことがあります)
短期的(人生30年、40年)に見れば、異性を惹きつけ子孫を残すという点では遺伝子にとってメリットがあるのかなと思ったりしました。
いろんな人がいて、いろんな温度差があって、そこに対流がうまれて墨絵のように様々な模様を作るのが社会なら
やはり色んな人がいたほうが面白みがあり、味わい深いんだろうなと思ったりです。