オンラインゲームで集団的知性は図れるのか?
私達人間は知性を持つ生き物です。
それゆえ知性の高い人もいればそうでない人もいるのですが、こういった個人の知性とは別に集団的知性というものがあることが近年心理学領域で関心を集めています。
これは「三人寄れば文殊の知恵」というように、複数の人間が集まることで発揮される知性なのですが、これについても個人の知性と同様、高い知性を持つ集団もあればそうでない集団もあることが知られています。
この集団的知性を決定づける要因としては、興味深いことに集団を構成する個人の知性の平均値ではなく、
むしろ集団を構成している個人の社会的知性、いわば心を読む能力、もう一つ踏み込むならば相手の目から感情を読み取る能力の高さが集団的知性を決定づけることが知られています。
しかしながら近年ではリモートワークが盛んになっており、必ずしも相手と対面することなく仕事をする機会も増えてきています。
集団的知性は相手の目から心を読むことで発揮されると考えられて入るのですが、こういった能力は相手の顔を見ないオンラインゲームではどのように発揮されるのでしょうか。
League of Legends:オンラインゲームにおける集団的知性
今日取り上げる論文は、世界で一億人がプレイしているとも言われるオンラインゲーム「League of Legends」の参加者を対象に、集団的知性とゲームパフォーマンスの関係について調べたものです。
このゲームでは5人対5人のグループで競い合うもので世界大会なども開かれているようですが、
この研究ではグループの集団的知性に影響を与える要因を調べる目的で、各被験者にRME(Reading the Mind in the Eyes)と呼ばれる目から感情を読み取る能力を評価するテストや性格検査などを行い、さらにグループの問題解決能力を図る様々な共同課題を行わせ
さらにグループの強さとしてゲーム上のどのクラス(ブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナ、ダイヤモンド)にあるかを評価しています。
結果を述べるとグループの社会的知性が高いほど、やはりゲームにおいても強いチームであることが示されています。
経済活動は本質的にはゲームだと思うのですが、
オンラインゲームでも集団的知性がものをいうのであれば、オンラインジョブにおいても集団的知性は大事になってくるのかなと思いました。
参考URL:Work Together, Play Smart: Collective Intelligence in League of Legends Teams
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