集団的知性:仕事の進行と人間関係の形成の関係とは?
チームで仕事をするというのはなかなか大変で、意見の衝突があったり、人間関係のいざこざがあったり、価値観の相違があったりと、こんなことだったら一人でやったほうが楽だと思うことも多々あります。
特にこういったストレスはチーム立ち上げ直後が大変で、かえって業務の混乱を招くことがありますが、しかしながらいくつもの課題をこなしながら数年たっていくと不思議にまとまりのある機能的なチームが出来上がります。
昔、病院で回復期病棟の立ち上げで、他職種連携チームを作った時に、ある古参の看護師が「チームが馴染むまで3年はかかるね」と言っていたのですが、なぜチームというのはなぜその機能を発揮できるようになるまで時間がかかるのでしょうか。
今日取り上げる論文は、チームにおける問題解決の進行プロセスとチーム内の人間関係の形成がどのような関係にあるかについて論じたものです。
この論文によるとチームがなにか課題を解決するときには、大きく4つのステップで進むことが示されています。
つまり
I プランやアイディアを生み出す過程
II その中から妥当なものを選ぶ過程
III その選択肢が抱える矛盾点の相克
IV 上記の過程でブラッシュアップされた選択肢の実行
といった4つのステップですが、チームは生身の人間からなる生き物ですので、各ステップで様々な人間関係での相互作用が生じます。
すなわち
I チーム内の目標や価値の創造
II チーム内での価値や目標における政治的合意
III チーム内の規範や文化の形成
IV チーム内の凝集性の形成と維持
というものが、各ステップをこなしていく中で生じてきます。
下の図はこのステップをまとめたものですが
ある課題をこなしていく中で、人間関係もそれに伴い成熟し、これを数回こなしていく中でチームの文化・人間関係が安定していくことが示されています。
逆に言えば、解決すべき課題がないところにはチーム内の人間関係の発展や変化もないわけで
チームの成熟にはある程度、課題による負荷が必要なのかなと思いました。
参考URL:Groups: Interaction and performance