経済行動におけるエストロゲンとテストステロンの効果についてのランダム化比較試験
人には色んなキャラがあり、控えめな人からクレバーな人、親切な人など様々ですが、
こういった人の性格傾向や行動傾向には性ホルモンが関与されているとも言われており、
特に男性ホルモンの一つであるテストステロンは、ヒトを成功に駆り立てるべく、色んな意味でヒトを勝負強いキャラにしてしまうことがいくつかの研究から示されています。
しかしながらヒトの体の仕組みは複雑であり、本当に単一のホルモンの効果だけでヒトの勝負強さを説明することができるのでしょうか。
今日取り上げる論文は、閉経後の女性を対象に性ホルモンを投与して経済ゲームを行わせ、ゲームの行動に変化が見られるかについて検証したものです。
対象になったのは50歳から65歳までの200名の閉経後の女性で、
彼女らにエストロゲン(女性ホルモン)、テストステロン(男性ホルモン)およびプラセボを投与し、様々な経済行動を評価するゲームを行わせるのですが、
結果を述べると性ホルモンの投与によって経済行動に変化が見られなかったことが示されています。
従来の結果と異なるこのような結果となった理由として、従来の研究は若年者や男性のみを対象にしており、
性ホルモンの機能の発現には、当該ホルモン以外の要素も関わっているため異なる結果になったのではないかということが述べられています。
何かを結論づけるのは難しいなと思いました。
参考URL :A randomized trial of the effect of estrogen and testosterone on economic behavior.
【要旨】
先行研究による相関関係により示されたエビデンスからは、性ホルモンがリスクテイクや相互の公平性といった経済的行動に影響を与える可能性があることを示唆されている。 この仮説を検証するために、二重盲検無作為化試験を実施した。 50〜65歳の健康な閉経後の女性200人を、エストロゲン、テストステロン、またはプラセボによる4週間の治療に無作為に割り当てた。 治療期間の終わりに、被験者は利他主義、相反的公正、信頼、信頼性、およびリスク態度を測定する一連の経済実験に参加した。 試験した行動のいずれに対しても、エストロゲンまたはテストステロンの有意な影響は見られなかった。
コメント
アラビア語ではリスクというのは、チャンスを意味するという話も聞いたことがあるが、
リスクというのはそれが破滅的な可能性がないのであれば、おそらく数をこなせばリターンのほうが大きいのではないかと思うことがあります(事業を行う上では100回失敗しても1回の成功で十分元が取れる)。
急成長を遂げる会社の経営者は総じて若いが、これには若いほうがテストステロンの分泌が多く、よりリスクテイクな行動を取れるからかなと思ったり、
年をとって成功する経営者は、数えるくらいしかいないことを考えれば、やはり勝負をかけるのは若いうちがいいのなかと思ったりします。
一日一回リスクを取る決断をするだけで、人生は結構変わりうるのかなと思ったりです。