目移りする能力・集中する能力
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なぜあなたは生き延びてこれたのか?脳の中の2つの注意システムとは

何もあなたを脅そうというつもりはありませんが、、基本的に世界は危険に満ち溢れています。

道を歩いてスマートフォンを見ていると自動車がビュンビュン走っていますし、職場で上司の悪口を言ってるところにその上司が入ってくるということもあります。

上手に歩いている患者さんも目を離したすきに転んでしまうかもしれませんし、フライパンをキッチンで煽っている間、ひょっとしたらグリルの魚や焼き焦げ始めてるかもしれません。

何かをするにはなにかに注意する必要がありますが、ときにはその注意を切り替えないと命取りになる場面というのがあります。

その意味で注意の切り替え能力と言うんは生存能力に直結するものでもあるのですが、これは脳の中でのどのような仕組みとして成り立っているものなのでしょうか。

今日取り上げる論文は、この注意の切替システムについて論じたものです。

この論文によると注意機能というのは大きくは2つに分けられ、

一つは何かに注意しつづける能力、これには前頭眼野や頭頂間溝、中前頭回からなる背側前頭頭頂ネットワークが関わり、

また必要に応じて注意の転換を促す能力、これには側頭頭頂接合部(TPJ)や前部島皮質、中前頭回からなる腹側前頭頭頂ネットワークが関わること、

さらにこの注意の転換に関わる腹側前頭頭頂ネットワークは、右半球に強く偏っていること、

この2つのネットワークを繋ぐ領域が、両ネットワークに共に存在する右中前頭回ではないかということ、

またこのような注意の転換能力は青斑核から放出される神経伝達物質(ノルアドレナリン)によって調整されているのではないかということが述べられています。

半側空間無視が右半球損傷で出現しやすいことや、その症状の本態が注意の切り替え能力が低下していること、

臨床的には覚醒レベルで症状が変動するのは上記の理由かななどと思いました。

 

参考URL:The Reorienting System of the Human Brain: From Environment to Theory of Mind

【要旨】

現在関わっている対象から、潜在的に有利な対象や潜在的に驚異となりうる対象に注意を切り替えられる能力が個体が生き延びるために必要である。この注意の切替反応は右半球優位の腹側頭頂ネットワークによるものであり、現状の活動実行を司る背側前頭頭頂ネットワークの活動を阻害し仕切り直すことで成り立っている。安静時には、これら2つのネットワークは独立しつつ内部で相互作用を起こしているが、なにかに注意が注がれるようなときには腹側側頭頭頂ネットワークの活動は抑制され、対象から気がそれないに調整される。これらの異なる活動パターンは青斑核から腹側側頭頭頂ネットワークのノルアドレナリン性の入力を反映しているかもしれない。この注意切り替えシステムはある注意対象の切り替えに関わるものとして概念化されたが、近年示された研究からは社会的認知といったより広範な文脈での役割があることが示唆されている。

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