寝る子は育つ?睡眠と学習に関する神経学的研究
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睡眠は学習にどのような影響を与えるのか?

寝る子は育つという言葉があります。

育つのは子供だけでなく大人も一緒であり、人というのは一生かけて育つ生き物と考えると大人においても寝ることは大事になってくると思うのですが、この睡眠と学習の関係は現在神経科学分野ではどの程度明らかにされているのでしょうか。

今日取り上げる論文は、睡眠と学習の関係についてなされた研究の総説論文になります。

この論文では近年の睡眠と学習に関する研究について動物やヒトを対象にした分子レベル、神経細胞レベル、脳領域レベル、行動学的レベルについての研究をひとさらい紹介しているのですが、その中で記憶定着の二重モデル、もしくは二段階モデルというものが紹介されています。

睡眠というのはよく言われているように

レム睡眠(Rapid eye movement sleep, REM sleep)という、急速眼球運動を伴う睡眠と

ノンレム睡眠 (Non-rapid eye movement sleep,Non-REM sleep) または徐波睡眠(Slow wave sleep,SWS)という、急速眼球運動を伴わない睡眠に分けられるのですが、

記憶定着の二重モデルにおいては

ノンレム睡眠(徐波睡眠)は顕在記憶(いわゆる暗記に代表されるような自分の意志で思い出せるような明示的な記憶)に関わり

レム睡眠は運動学習のような暗黙的記憶の定着に関わるというものであり、

記憶の二段階モデルでは、ある記憶が定着するためにはレム睡眠とノンレム睡眠の両方が必要で

順序的にはまずノンレム睡眠が起こり、その後続いてレム睡眠が起こることで記憶の定着がなされるというものです。

あるプロサッカー選手は練習上達にとって最も大事なことはしっかり寝ることといっていましたが、

睡眠は勉強にしても運動にしても学習が定着するのに大事なのかなと思ったり、

あるいはレム睡眠とノンレム睡眠の両方が大事ならば、寝る時間も大事ですが起きるタイミングというのも大事なのかなと思いました。

 

参考URL:The Role of Sleep in Learning and Memory

【要旨】

睡眠は学習と記憶の根底にある可塑的な脳の変化に関係している。 新規の記憶痕跡の統合に睡眠が関与しているという徴候は、広範囲の実験的観察からもたらされている。 様々な実験からネットワークレベルにおいて、新しい環境環境に曝された個体において神経細胞集合体の睡眠中の再活性化がなされることが報告されている。 これらの神経細胞集合体は、睡眠中の記憶痕跡の処理に関与していると考えられている。 しかしながら、この急速に増えている実験データにもかかわらず、記憶痕跡に対する睡眠放電パターンの影響のエビデンスは断片的なものにとどまっている。 学習および記憶における睡眠の根本的な役割は、まだ正確には特徴付けられていない。

 

 

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