急性脳卒中における自己中心性および対象中心性の視空間的および触覚的無視の解離
半側空間無視はその多くが左側への症状として現れ、左側の空間認識能力が低下するのですが、
この左側の空間認知能力の低下が自己中心性のものか、対象中心性のものかという違いがあります。
こういった違いを調べるものとして、以下の図のような課題があるのですが、
この課題では完全な途切れのない円に丸印をつけ、途切れのある円にばつ印をつけるのですが、
自己中心性無視では上図のように対象物の途切れの有無に関わらず左側のものだけが無視されるような結果となります。
今日取り上げる論文は、この自己中心性無視と対象中心性無視の違いが視覚課題だけでなく触覚課題でも起こりうるかについて調べたものです。
対象となったのは100名の左半側空間無視患者で、視覚課題については98名、触覚課題(類似の課題を触覚対象物を使って認識させた)については58名を対象に行いその相違について調べています。
結果を述べると触覚課題においても自己中心性無視と対象中心性無視の違いが見られ、
若干の例外を除けば視覚認知と同様の傾向を示したこと、
またこのような違いには脳損傷領域の違いが関わっているのではないかということが述べられています。
しっかりと調べる時にはこのような検査で自己中心性と対象中心性の違いを調べたほうがよいのかなと思いました。
参考URL :Dissociation between Egocentric and Allocentric Visuospatial and Tactile Neglect in Acute Stroke
ポイント
・半側空間無視の病態を説明するものとして自己中心性無視もしくは対象中心性無視というものがある。
・この区別が視覚認知だけでなく触覚認知でも起こりうるかについて調査を行った。
・結果、触覚認知でも自己中心性無視と対象中心性無視の違いが見られ、これは概ね視覚認知の結果と同様であり、それぞれの無視に異なる脳領域の損傷が影響していることが考えられた。
コメント
最近小学校に上がった子供を相手にカルタ遊びなんかをすることがある。
一緒に遊んでいると、枚数が多いうちは子供にも勝てないのだけれども、枚数が少なくなってくると誰にも負けないということに気づく。
多分私の注意機能のデフォルトが、広範囲を照らす照明ではなく、ピンポイントを刺すレーザーポインターのようになっているのかもしれないと思うこともある。
適性をうまい具合に生かしていきたいなと思います。