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半側空間無視における自己中心性無視と対象中心性無視?

私達は日々様々な視点でいろんなものを見ていますが、

こういった視点には様々なものあることが知られています。

一つは自己中心性のもので自分の目を世界の中心に据え置き世界を見るようなものです。これと対象的なのが対象を世界の中心に置くような視点です。

この説明だけだとわかりにくいので電車に乗っているときのことを思い出してもらえばわかりやすいと思うのですが、駅に停車中窓の外の隣の電車が動き出すと、あたかも自分の電車が動くように感じることがありますが、

これは対象を世界の中心においた視点で外を眺めているため相対的に自分が動くと脳が勘違いしてしまうためと考えることができます。

視覚的認知が障害されるものとしては半側空間無視がありますが、この半側空間無視で自己中心性の視覚処理が阻害されるものや対象中心性の視点が阻害されるもの、あるいはそれぞれの責任領域というものはあるのでしょうか。

今日取り上げる論文は、半側空間無視とこの視点の種類および責任領域について検討したものです。

対象になったのは発症から48時間以内の右皮質下損傷患者50名で、

半側空間無視テストと機能的MRIおよび拡散強調画像を用いてその関係性について調べています。

半側空間無視テストの中にはギャップ検出テストというものも含んでおり、

これは”自己中心性”無視と”対象中心性”無視を区別するようなものです。

自己中心性無視は文字通り自分の左側を認知できないようなものであり(穴の開いた丸を探す課題)

対象中心性無視は対象の左側を見落としてしまうような無視になります(下の図では左側に開いている部分を認知できていない)。

上図参考URL:https://www.google.com/url?sa=i&source=images&cd=&ved=2ahUKEwj8wMHCr9jiAhXIdXAKHU4BBJoQjRx6BAgBEAQ&url=http%3A%2F%2Fwww.jaredmedina.com%2Fpdfs%2FKhurshid%2520et%2520al%25202012%2520-%2520Reperfusion%2520of%2520specific%2520cortical%2520areas%2520is%2520associated%2520with%2520improvement%2520in%2520distinct%2520forms%2520of%2520hemispatial%2520neglect.pdf&psig=AOvVaw0Silx0ubi3vtaSG2BDvSt_&ust=1560031268923257

これらのテストと画像所見を突き合わせると

左自己中心性無視については右角回の血流低下が、左対象中心性無視については右上側頭回の血流低下が関係していたことが述べられています。

半側空間無視テストでは線分二等分課題の検出率が低いことが報告されていますが、このようなことの背景には半側空間無視における視点障害の相違が関係しているのかなと思いました。

参考URL:Anatomy of spatial attention: insights from perfusion imaging and hemispatial neglect in acute stroke.

【要旨】

脳卒中後の左半側空間無視の責任病巣については様々な議論が行われてきた。その中には右角回の損傷が左半側空間無視を引き起こすというものもあれば、右上側頭葉の損傷が左半側空間無視を引き起こすというものもある。今回我々はこの2つの異なる結果を説明する仮説として2つのものを提示する。1)無視はいくつかの研究で示されている構造的な損傷ではなく皮質の機能損傷の結果として引き起こされる。2)過去になされた研究では異なる神経相関から引き起こされる異なる無視の症状が、様々な割合で含まれている。この仮設を検討するために発症から48時間以内の50名の急性期の右皮質下損傷患者を対象に半側空間無視テストと機能的MRIおよび拡散強調画像を用いて評価を行った。左”対象中心性”無視(被験者の位置によらず個別の刺激の左側のエラーが多いもの)では右上側頭回に血流低下が認められ、左”自己中心性”無視(被験者の左側のエラー)については右角回の血流低下と強く関連していた。皮質の血流低下が見られなかった患者については半側空間無視は認められなかった。これらの患者については皮質の梗塞巣が見られなかったため、私達のデータからは構造的機能的MRIでは検出できない血流低下を起こしている機能不全組織により無視症状が引き起こされていることが考えられた。さらに異なる形の虫症状は異なる皮質領域の血流低下と関連していることが考えられた。これらの結果は過去の研究の矛盾する結果を説明する一助となりヒトの脳における空間的注意と空間表象の理解を促すものである。

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