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どの領域の損傷で半側空間無視が慢性化しやすいのか?

脳卒中で見られる半側空間無視は臨床現場で頻繁に遭遇する症状であり、患者の日常生活動作や自宅復帰に大きく影響する因子ではありますが、

半側空間無視を示す患者の中でも時間とともに症状が軽減・消失してくるものもあれば、時間がたってもなかなか良くならないものなど様々です。

治療計画を立てる上で予後を考えることは重要ですが、果たして発症初期の画像所見から半側空間無視症状の予後を推定することはできるのでしょうか。

今日取り上げる論文は、6名の半側空間無視症状を示した右半球損傷患者の症状の変化について、半側空間無視症状を示さない右半球損傷患者および末梢神経損傷患者の脳画像と比べて調べたものです。

発症初期(平均6.2日)の画像所見をもとに、その後の経過と損傷領域の関係性について調べているのですが、

結果を述べると、半側空間無視症状と関連する損傷領域としては

皮質レベル:上側頭回・中側頭回

皮質下レベル:大脳基底核 下後頭前頭束/最外包

※下後頭前頭束は図中のOccipitofrontal Fasclculus

画像URL:http://science-naturalphenomena1.blogspot.com/2011/02/occipitofrontal-fasciculus.html

※最外束(Extreme Capsle)は外包と島皮質の間に位置

画像URL:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%80%E5%A4%96%E5%8C%85#/media/File:Slide6kk.JPG

であり、また鈎上束の損傷が半側空間無視症状の慢性化と密接に関連していることが示されています。

※図中赤線部が鈎上束

症例数も少なく、これで全てが説明するのは難しいとは思いますが、やはり前頭領域と側頭・後頭領域を結ぶ神経経路の損傷というのは視覚認知に大きな影響を与えるのかなと思いました。

 

参考URL:The anatomy underlying acute versus chronic spatial neglect: a longitudinal study

【要旨】本研究の目的は発症初期段階での脳画像所見が、急性期/亜急性期、もしくは慢性期における虫症状の予測しうるかを検証することである。本研究は初めて急性期/亜急性期および慢性期における損傷と行動の関係についてボクセルレベルでの追跡調査を行ったものである。平均発症6.2日目に造影した急性期画像を脳卒中発症初期(平均12.4日)および慢性期(平均491日)における無視症状の評価に用いた。慢性期における無視症状は急性期に無視症状が見られた患者の3分の1に見られた。この分析からは上側頭回と中側頭回の損傷が急性期/亜急性期および慢性期の無視症状を予測しうることが示された。また皮質下レベルに置いては大脳基底核と下後頭前頭束/最外包の損傷が急性期/亜急性期および慢性期を予測しうることが示された。さらに鈎上束の損傷が慢性期の無視症状に決定的に関連していることが示された。これらのことから発症初期に以上の皮質および皮質下の損傷を示さないものは回復しやすく予後も良好であることが考えられた。

 

 

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