内因性覚醒レベルの低下による注意および感覚への影響
半側空間無視の発症機序は複雑でいろいろな仮説が挙げられていますが、
その中でも注意機能が大きな影響を与えることが様々な研究から報告されています。
この注意機能というのは右や左と行った特定の方向への注意能力ではなく、全般的にぼんやりしているような覚醒レベルとも関連した注意力なのですが、
今日取り上げる論文は、健常者を対象に覚醒レベルを低下させると左右の空間認知がどのように変化するかについて調べたものです。
実験では16名の健常者(男性8名、女性8名、平均年齢24.2歳)を対象に50分の注意力を酷使する課題を行わせ、人為的に覚醒レベルの低下を引き起こします。
続いて画像認識課題で右視野と左視野の認知で違いがあるかを調べているのですが、
覚醒レベルが低下した状態では、半側空間無視で見られるような消去現象が起こりうることが示されています。
ちなみにこの消去現象というのは左半側空間無視であれば、右視野に注意をひくような対象物があると左視野の対象が認識できなくなるような現象なのですが、
これと同じような現象が健常者でも覚醒レベルが低下した状態では起こることから、
半側空間無視の病態には覚醒レベルも影響しているのではないかということが述べられています。
半側空間無視患者の病態が状況によって変わりうるのは覚醒レベルが影響しているのかなと思いました。
参考URL :Attentional and sensory effects of lowered levels of intrinsic alertness.
ポイント
・通常ヒトの視覚的注意は左側への偏りが見られる。
・覚醒レベルを人為的に低下させた場合、左右の視野の視覚的認知にどのような影響が現れるかについて評価を行った。
・結果、覚醒レベルが低下した状態では半側空間無視患者のような左視野の消去現象が現れた。
コメント
最近、生産性をあげようと思ってある本を買った。
著者はシリコンバレーで名が知られたGメールのシステム開発者とYouTube責任者。
内容はだいぶドラスティックなもの(スマートフォンのメールアプリ、SNSアプリ、検索アプリの削除もしくは停止)からマイルドなもの(有酸素運動)まで様々だけど、
その中でもタイマーを使うというのは時間の効率化に劇的に役に立った。何ということはない、机の上に視認性抜群のタイマーをセットして、一つのタスクに時間制限をかけて集中して行うというものだ。
スマートフォンやSNSから遠ざかり、覚醒レベルが極限まで上げて朝から晩まで仕事をすることで生産性は2-3倍に上がり、自分を取り巻くすべてのタスクを回せると思ったのも一週間程度、
おそらくはドーパミンの過剰分泌の反動が関係したのか、ある時期を境に体調を崩した。
覚醒レベルを上げるのは簡単だけど、やはり自然の摂理に逆らってはいけない。人それぞれにキャパはある。
ぼんやりする患者さんにハッパを掛けるとしても、きっとそのぼんやりした患者さんは、その時点で限られた覚醒レベル(ドーパミン)を精一杯使っているのだ。
我が身を振りかえって少し反省する。
自分の欲望や他人の欲望とうまく距離を置ければよいのだけれども、これもまた難しく
やはり社会に生きるというのは難行なのかなと思います。
自分はタフだから大丈夫というかたはどうぞ。確実に生産性は上がります。
↓