共同注意の種類と脳機能、自閉症と発達段階の関係とは?
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共同注意とはなにか?

人間というのは変わった特徴をいろいろ持っていますが、その中の一つに他人の心を読むということがあります。

これは相手の視線や仕草を見て相手が何を考えているのか、欲しているのかを察する能力ですが、

こういった心理的能力の基盤になっているのはどのような機能なのでしょうか。

心理学分野の概念として共同注意というものがあります。

これは赤ちゃんと母親が絵本を読むところを想像してもらえばいいのですが、二人で同じものに視線と注意を向けることを指します。

この共同注意が成り立つためには、まず相手の視線がどこを向いているかを認知する必要があるのですが、こういった能力は概ね生後9ヶ月くらいから現れます。

しかしながらこの共同注意というのは脳機能的にはどのようなメカニズムで働いているのでしょうか。

今日取り上げる論文は、共同注意と脳の発達、自閉症の関連について述べたものです。

共同注意と脳内注意システム

この論文によると共同注意というのは細かくは2つの種類に分けられるそうです。

一つは共同注意の応答というもので、これは他者がどこへ視線を向けているかに気づくような能力です。

もう一つは共同注意の開始というもので、指差しなどのジェスチャーを介して「見てみて」というように他者へ向かって共同注意の開始を促すものです。

このそれぞれには脳の中でも異なる注意システムが関わっており、以下の図に示すように共同注意の応答には「気付き(ボトムアップ的注意)」に関わる前方注意システムが、

共同注意の開始には「探索(能動的注意)」に関わる後方注意システムが関係しており、

共同注意が発達するためにはこれら2つの脳内注意システムの発達を待つ必要があります。

共同注意がどのように社会性の発達につながっていくのか?

自閉症においては社会性に困難を抱えることが多いのですが、この共同注意の発達の遅れが様々な研究から示されています。

しかしながら共同注意というのはどのようにして社会的能力につながっていくのでしょうか。

この論文では、まず最初に他者への注意が現れ、それを応用に自己への注意、共同注意が発達し、この共同注意をベースに社会的状況を理解するような社会的認知、さらに他者と注意をともにすることからシンボルや言語の理解が進み、

最終的に柔軟で適応的な社会的コミュニケーションが発達するのではないかということが述べられています。

つまり社会的コミュニケーションは段階的・螺旋的に成長していくもので、この螺旋の始まりに他者と自己への気付き、共同注意があるということが述べられています。

しかしながら自閉症においては言語的な機能が並外れて優れた例がありますが、果たしてこのモデルではこの現象をどのように説明するのかなと思いました。

参考URL:A Parallel and Distributed Processing Model of Joint Attention,Social-Cognition and Autism

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