認知課題はどのように区別できるか?
わたしたち人間は朝起きてから夜寝るまで始終何かを認知しながら生きています。
朝起きればテレビの画面を認知し、
足早に職場に近づけば頭の中では今日の仕事の段取りを繰り広げ
歩行介助をすれば無意識のうちに患者の次の一歩をシミュレーションしたりしていますが、こういった脳の中で繰り広げられる認知活動はどのような種類に分けることができるのでしょうか。
またそれぞれの種類によって脳の活動も異なるのでしょうか。
今日取り上げる論文は、認知活動を2×2の4パターンに分けて行わせ、その時の脳波の差異について調べたものです。
この実験では認知活動を
右脳的(図形処理)/ 左脳的(文語処理)
の区別と
外的注意(外部の情報の取り込み)/ 内的注意(内部の情報の取り込み)
の区別で
2×2の4パターンの認知課題を行わせています。
具体的には
右脳ー外的注意 (画面上に示される図形の中から条件に合う適切な図形を選ぶ)
右脳ー内的注意 (歩いているところを想像する課題)
左脳ー外的注意 (画面上に示される文語の間違いを発見)
左脳ー内的注意 (暗算課題)
のような形で被験者に課題を行わせその時の脳波について周波帯域(アルファ/ベータ)と半球(右/左)でどのように異なるかについて調べています。
結果を述べると外的注意と内的注意で違いが見られ、これは内的注意課題を行っているときにアルファ帯域の活動が右頭頂領域でより高くなることが示されています。
この論文が発表されたのは1985年で、右脳と左脳で区別する考え方も今ではざっくりしすぎている感じがあるのですが、内的注意課題で見られる頭頂領域の違いというのは昨今取り上げられることの多いデフォルトモードネットワークの活動の違いを反映したものなのかなと思いました。
【要旨】
認知課題と感情的課題を行っているときの注意効果を脳波測定する目的で2つの実験が行われた。実験の結果、暗算課題のような環境への注意への必要度が低い課題においては頭頂葉の活動がより高くなることが示された。ベータ帯域における異なる半球活動が感情的にポジティブもしくはネガティブな課題のおいて認められ、また同様の現象が認知課題における頭頂領域において認められた。
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