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自閉症スペクトラム障害ではデフォルトモードネットワークが十分機能していない?

自閉症スペクトラム障害では、しばしば空気が読めない、相手の心を理解できないといったコミュニケーションに関わることで苦労することが多いのですが、

こういったことで苦労する背景にはどのような脳機能の違いが考えられているのでしょうか。

今日取り上げる論文は、デフォルトモードネットワークと呼ばれる脳内ネットワークについての総説論文になります。

デフォルトモードネットワークには様々な役割があるのですが、

ごくごく大雑把にいっていまえば、脳の中のシミュレーション装置ということになります。

脳の中には今まで経験したり見聞きした膨大な量の情報が蓄えられているのですが、こういった情報を切り貼り構成して

まだ見ぬ未来の光景や、あるいは相手の心の中、あるいはこうすればああなるかなといった妄想全般に関わることが様々な研究から示されています。

自閉症スペクトラム障害では、相手の心を上手に読み取れないことからこのデフォルトモードネットワークに何らかの問題があるのではないかと考えられてきたのですが

この論文によると、自閉症スペクトラム障害ではデフォルトモードネットワークに問題があるのではなく、それにスイッチを入れるネットワークに問題があるのではないかということが述べられています。

これはどういうことかというと

脳の中にはデフォルトモードネットワーク以外にも様々なネットワークがあり、

例えば外部へ注意を向ける背側注意ネットワークや

背側注意ネットワークとデフォルトモードネットワークを橋渡しする前頭頭頂ネットワークなどがあるのですが、

(背側注意ネットワーク⇔前頭頭頂ネットワーク⇔デフォルトモードネットワーク)

自閉症スペクトラム障害では間に入っている前頭頭頂ネットワークがうまく機能しないため

背側注意ネットワークから得た外部世界の情報をうまくデフォルトモードネットワークに伝達できなくなり、

周りの空気が読めなかったり、相手の気持ちを読み取ることが難しかったりするのではないかということが述べられています。

限られた研究結果でどこまで言い切れるのかは難しいとは思うのですが、

心を読み取る仕組みというのは、相手の心を自分の心の中に立ちあげて操作するという無理難題ゆえ、

きっと複雑精妙にできているのだろうなと思いました。

参考URL:The brain's default network: anatomy, function, and relevance to disease.

【要旨】

30年に渡る脳画像研究から脳のデフォルトモードネットワークが定義されてきているが、これは認知の内的モードに関わる脳システムである。本校では過去の知見を取りまとめ、デフォルトモードネットワークが特殊であり、外的注意にかかわらないときに活発に活動する解剖学的ネットワークであることを示す。サルを対象にした解剖学的連結分析からは脳システムの内的結合が示されている。またその昨日に着目するとデフォルトモードネットワークは被験者が自伝的記憶の回想や未来の想像、または他人の心を想像するときに活動することが示されている。そのネットワークの機能的解剖について詳しく見るとこれはサブシステムが相互に結合したものであることが分かる。内側側頭葉のサブシステムは過去に記憶した情報とメンタルシミュレーションによる情報を提供する役割がある。内側前頭葉はこれらの情報を柔軟に用いて自己に関連したメンタルシミュレーションを構築する役割がある。これらの2つのサブシステムは後帯状皮質を含む重要な結節点で統合される。この機能的及び解剖学的知見の応用については、過去の経験を未来に援用すること、社会的な相互作用を適切に行うよう促すこと、記憶の役割を最大化することなどが考えられる。またデフォルトモードネットワークは自閉症や統合失調症、アルツハイマー病などを理解する手がかりになると考える。

 

 

 

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