脳波から見る自閉症スペクトラム障害と共同注意の関係とは?
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共同注意とはなにか?

地球上にはいろんな生物がいますが、私達人間はコミュニケーション能力が異常に高いという点で際立った特徴があります。

この人の持つコミュニケーション能力の基盤になるのが、「相手が見ているものと同じものを見る」能力です。

赤ちゃんであれば、お母さんが何を見ているのか、何を促しているのかについて視線の方向や指先の方向から理解する、

こういったことができることから相手の意図を読み取ったり言葉を理解したりという能力が発達していくのですが、

自閉症スペクトラム障害においてはこの共同注意に関わる神経基盤が定型発達児とは異なり、それゆえ言葉やコミュニケーション能力の発達で出遅れることがあります。

しかしながらこの共同注意に関わるの活動というのは実際のところ測定可能なのでしょうか。

今日取り上げる論文は、この共同注意課題を自閉症スペクトラム障害を持つ青少年と定型発達の青少年を対象に行わせ、その時の脳波を測定し、電極間の関係性について調べたものです。

実験では被験者に以下のような動画を見せ、実際に共同注意を引き起こさせます。

(一致条件/不一致条件)

この時の脳波を測定し、脳波を測定する電極間の関係性がどのようなものかを以下のパターンで調べています。

結果を述べると、定型発達の青少年においては、心を読み取る能力が高いほど右側頭ー頭頂間の関連性が強くなり、

これは脳の中でも右側頭ー頭頂領域が共同注意を行う上で重要であるという先行研究の結果を裏付ける結果となったのですが、

自閉症スペクトラム障害を持つ青少年は、個体差が大きくこのような結果が出なかったことが示されています。

症状が似ていることから自閉症スペクトラム障害という言葉でくくられることは多いのですが、

それぞれの脳の特徴は個体差が大きく一般化しづらいものなのかなと思ったり、

あるいは自閉症スペクトラム障害の脳が一般化しづらいものならば、その介入方法も必ずしも一般化できるものではないのかなと思いました。

参考URL:Reduced Temporal-Central EEG Alpha Coherence during Joint Attention Perception in Adolescents with Autism Spectrum Disorder

 

 

 

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