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側方突進(lateropulsion)もしくはプッシャー症候群の評価尺度

脳卒中ではしばしば姿勢障害が発生し、寝たり起きたり立ったりという基本的な動作が難しくなることがあります。

人間が姿勢を崩さずにきちんと立っている、あるいは座っているためには支持基底面の中にきちんと重心を置かなければならないのですが、

垂直位の知覚に何らかの障害がおこると重心を基底面の中におくことができず、結果身体が傾いてしまうという現象が起こります。

こういった現象はプッシャー症候群、あるいは(押し返せば戻ることができる)側方突進とも呼ばれていますが、こういった現象を評価する方法にはどのようなものがあるのでしょうか。

今日取り上げる論文は、これらの姿勢障害を評価する尺度について論じたものです。

この論文で取り上げられている尺度は

・The scale of Contraversive Pushing

・The Modified Scale for Contraversive Pushing

・Burke Lateropulsion Scale

なのですが、一つずつ簡単に説明していきたいと思います。

 

・The scale of Contraversive Pushing

この評価スケールは

・姿勢の対称性

・姿勢を保持しているときの非麻痺側上下肢の外転・伸展の有無

・評価者が姿勢を正しい方へ戻そうとするときの患者の抵抗の程度

の3点について座位および立位で各項目を最大2点として0-2点の間で評価しています。

この評価スケールは様々な研究でその実用妥当性が証明されています。

・The Modified Scale for Contraversive Pushing

これは上記のThe scale of Contraversive Pushingを臨床現場でより使いやすいよう改変したものです。

・ベッドサイドで側部を床に接地させた時の静的座位の安定性

・完全垂直位での静的立位姿勢の安定性

・股関節を曲げた状態でのベッドから車椅子もしくは椅子への移乗動作能力

・完全な立位を取った状態で90度以上の方向転換を行ってのベッドから車椅子もしくは椅子への移乗動作

の評価を行います。

臨床現場での経時的な変化を拾いやすいという特性があります。

・Burke Lateropulsion Scale

患者が姿勢を保持したり変えようとしたりする時の反応について評価します。

具体的には座位もしくは立位で

・麻痺側方向へ30度(立位では15-20度)、評価者によって身体を傾けられたときの上下肢体幹の反応

・0点:抵抗がない 1点:5度まで傾けたときに抵抗がある 2点:10度傾けたときに抵抗が始まる 3点:10度以上傾けたときに抵抗が始まる

・背臥位からの寝返り、移乗動作時、歩行時の抵抗感については評価者の感覚により評価

というものです。

 

様々な評価がありますが、介入効果を検証したり、経時的変化を追うにはこれらの評価尺度を使ったほうが良いのかなと思いました。

 

ポイント

・脳卒中後のlateropulsion(側方突進)またはプッシャー症候群を測定する3つの尺度があり、そのそれぞれがDaviesによって定義されたpusher症候群の定義に基づいている。

・The scale of Contraversive Pushingは最も広範囲に研究されており、臨床への応用可能性が十分にあるものであった。

・Burke Lateropulsion ScaleとThe Modified Scale for Contraversive Pushingはより機能的な評価を行い臨床上の意思決定や研究に有用な総合的評価尺度であった。

 

補足コメント

生後3ヶ月の赤ちゃんが手元にいる。

最近は首がしっかりしてきたのか、縦抱きしても首をそんなにしっかりもたなくてもニコニコ頭を起こしてくれる。

抱っこは少し楽になったけど、ガンガン伸展動作を行って、床に敷いた布団から上にはみ出ては壁に頭を打ち付けたりしていて目が離せない。

ヒトは言わずとしれた二足歩行動物で、立つ、歩くと言う動作はそもそも四足歩行と比べても難易度が高い。

頭を起こして前を見て、数十キロの躯幹をひょいひょい動かすというのは、本当は奇跡のような技なのかなと思ったりです。

 

 

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