脳卒中後の垂直性知覚の異常を測定する:なぜ起こるのか?どのように起こるのか?
脳卒中になると、うまく手足が動かないという症状だけでなく、うまく座れない、うまく立てない、立とうとしても傾いてしまうという症状が現れることがあります。
こういった症状はプッシャー症候群と言われていますが、これは果たしてどういったメカニズムにより発症するのでしょうか。
今日取り上げる論文は、脳卒中後の垂直性知覚の異常についてその測定方法と発生メカニズムについてなされた研究をまとめた総説論文になります。
この論文によると、ヒトの垂直性の知覚は様々な感覚が脳内で統合されることで成り立っているのですが、
しばしば脳卒中後にこのシステムが以上をきたすこと
プッシャー症候群とは別に、脳幹の損傷に起因する側方突進( lateropulsion)という概念があること
その中でも大きな2つのシステムとして
視覚-前庭系に由来する視覚的知覚と
体性感覚-重力受容器系に由来する姿勢性知覚があること、
そしてこの2つのシステムが統合されて適応的な姿勢調整がなされることが述べられています。
また多くの実証研究から脳卒中の姿勢調整障害に対しては体性感覚を通じた介入が有効ではないかということが述べられており、
適切な刺激を与えることが可塑的に姿勢調整システムを再構築する上で大事なのかなと思いました。
参考URL: Measuring verticality perception after stroke: why and how?
ポイント
・脳卒中発症後に垂直性の知覚異常が高頻度に発生する。
・この知覚異常には視覚-前庭系に由来する視覚的知覚と体性感覚-重力受容器に由来する姿勢性知覚が関与する。
・体性感覚によるアプローチは垂直性知覚に対するリハビリテーションを行う上で重要である。
補足コメント
適切な刺激を与えることが重要だとは思うのだけれども
ベースになる注意力が低下していると、おそらく半側空間無視と同様に麻痺側への注意が低下し十分に刺激を入れられないかなと思ったり
あるいはベースになる注意力へアプローチするにはどのようにすればいいのかななどと思いました。
難しいです。