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半側空間無視とADL:右半球損傷はなぜ予後不良か?

臨床現場で脳卒中患者を見ることは多いのですが、リハビリの現場では治療を行うにあたってまず予後というものを考えます。

つまり目の前にいる患者さんは現在どの程度のレベルで3ヶ月後、6ヶ月後、12ヶ月後にはどの程度まで良くなっているのか、障害はどの程度残るのか、生活能力はどの程度まで回復して、自宅に帰ることができるのか、それとも難しいのか、

こういったことをニコニコしながら勘案しながら初期評価に当たると思うのですが、一般に左片麻痺の患者さんは右片麻痺の患者さんに比べて自宅に帰る上で難しくなることが多いような印象があります。

しかしながらこれは実際のところ本当なのでしょうか。もしそうだとしたら中核にある問題というのはどのようなものなのでしょうか。

今日取り上げる論文は、脳卒中患者の身体機能とADL、生活自立度について発症初期とその後の変化について調べたものです。

対象になったのはそれぞれ24名ずつの右半球損傷患者(左片麻痺:平均年齢60.6歳)と左半球損傷患者(右片麻痺:平均年齢62.2歳)で、発症初期と6ヶ月以上経過した時の基本的な身体機能とADL、知能および自立度について調べています。

結果を述べると発症初期には右片麻痺も左片麻痺も身体機能もADLも大きな違いはなかったのですが、6ヶ月以上では身体機能に差はなかったもののADLや自立度は右片麻痺のほうが高かったこと、

さらに統計上、半側空間無視の要因を外した場合、左右片麻痺の片麻痺で6ヶ月以上でもADLに違いが見られなかったことから

左片麻痺の予後が不良となる中核的因子は半側空間無視ではないかということが述べられています。

人が生活する上では身体機能以上に認知機能が大事なのかなと思ったり、

あるいは高次脳機能障害をサポートするために人工知能などを活用した機器があるといいのかなと思いました。

参考URL:Unilateral spatial neglect and recovery from hemiplegia: a follow-up study.

【要旨】

単純な運動機能と日常生活の活動に関する左右片麻痺からの回復の結果を調査するために追跡調査を行った。 付随する神経生理学的障害の役割も調査した。 主な結果は、発症から6ヶ月後に、左片麻痺患者は対応する右片麻ひ患者のグループよりも運動機能の回復が低下する傾向と相まって、自立性および社会的適応の改善度が低いことを示している。 左片麻痺患者のグループではより頻繁で深刻な半側空間無視は、患者のパフォーマンスを妨げる上で重要であるように思われる。

 

 

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