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小児期のストレスと成人期のうつ病の関係とは?

「風が吹けば桶屋が儲かる」のでもないのですが、私達のカラダや社会というのは複雑な因果関係からできています。

高血圧症や糖尿病といった成人病であれば、ウイルスが入ってすぐに発症するような病気とは違って、そこに至るまでには長い道のりがあるように

うつ病を発症するまでには長い道のりがあり、それはかつてフロイトのような心理学者が精神疾患の起源を幼少期の親子関係に求めたように、

小児期における強いストレスは、特定の遺伝子に影響を与え、脳の発達に影響を与え、これらの変化によって思春期以降の不安障害やうつ病などの精神疾患に罹患しやすくなることが近年の研究から示されています。

うつ病ではまた脳の中で記憶の中枢と言われる海馬の体積が減少することが知られていますが、果たして小児期の虐待によって海馬が小さくなり、うつ病になりやすくなるということはあるのでしょうか。

海馬と認知機能の関係とは?

海馬というのは上に示す画像のように脳の中枢にあって主に記憶に携わる領域ですが、脳の広い部分に神経線維を伸ばしており、

その中でも知性の中枢である前頭前野や恐怖や不安の中枢である扁桃体、さらには情動と理性のつなぎ目に当たる前帯状皮質とつながっていることが知られています。

それゆえ海馬というのは単に記憶に関する機能だけでなく、認知や感情に関わる機能全般に影響を及ぼすこと、

またうつ病が長期化、重症化するほど海馬の体積が減少すること、

さらには海馬の体積が小さい人はまたPTSDを発症しやすくなることが報告されています。

小児期の親による虐待経験とうつ病の発症年齢、海馬の体積の関係とは?

今日取り上げる論文は、上記の報告を踏まえた上で、果たして虐待経験がうつ病の発症の早期化や海馬の体積に影響を与えるかについて調べたものです。

対象となったのはうつ病の病歴がある女性31名と精神疾患の病歴のない健常女性24名を対象に、小児期の虐待経験についての自己評価と海馬の体積、うつ病発症年齢の関係について調べています。

結果を述べると、虐待経験がシビアであるほど、うつ病発症年齢は早期化するものの、海馬の体積については変化が見られなかったことが述べられています。

海馬の体積に変化が見られなかった原因として、筆者らは今回の研究の対象となった被験者は、虐待と海馬の関係を調べた先行研究の被験者と比べて、比較的虐待の度合いが平均的に少なかったことなどを上げていますが

虐待の度合いが少なく海馬の体積に影響がないものの、虐待がうつ病発症の年齢を引き下げるという事実があり、

やはり人生早期のストレスというのは思春期以降に強い影響を与えるのかなと思いました。

参考URL:Childhood adversity predicts earlier onset of Major Depression but not reduced hippocampal volume

 

 

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