脳科学 演技の脳科学:演じている時に何が起こっているのか? はじめに 地球上には様々な動物がいますが、人間というのは少々特殊です。他の動物にない様々な能力を持っているからです。言葉を話したり、未来のことを考えたりすることもそうですが、その他に「演じる」という能力も持っています。演じるためには様々な知能が必要です。まず演じる対象の心を理解する必要があり(メンタライジング能力)、演... 2023年9月30日 佐藤洋平
社会性 悲嘆の脳科学:長引く悲嘆を予測できるか? はじめに 身近な人が亡くなった時には強い悲しみの感情が引き起こされます。この感情は悲嘆とも呼ばれますが、元気がなくなるだけでなく、故人のことを繰り返し思い返したり、追い求めたりする傾向があります。また、悲嘆症状が長期(1年半以上)に渡った場合には複雑性悲嘆と診断されることもあり、全世界でおよそ2億人が該当するとも言われ... 2023年9月23日 佐藤洋平
脳科学 悲嘆の生理学:大事な人の喪失で何が起こるのか? はじめに 愛する人との別れはしばしば強い悲しみを引き起こします。通常であればこのような悲しみは数ヶ月で軽減するのですが、およそ1割のケースでは1年以上立っても強い悲嘆感から立ち直れないことが知られています。このような状態は精神医学的には複雑性悲嘆(遷延性悲嘆症)と呼ばれていますが、生理学的にはどのようなものとして捉える... 2023年9月16日 佐藤洋平
脳科学 怒りの脳科学:その仕組と抑え方 はじめに 喜怒哀楽のない人生はつまらないかもしれないが、不快な感情は避けて生きていきたい。とりわけ怒りは厄介で、外に向かえば誰かを傷つけてしまうし、内に向かえば自分を傷つけることになる。しかし、この怒りとは脳科学的にはどのようなものなのだろうか。今回の記事では、ある総説論文(Sorella et al., 2022)を... 2023年9月9日 佐藤洋平
脳科学 社会認知神経科学:その中核的プロセス 2 はじめに 脳科学の中でも社会認知神経科学と呼ばれる学問領域があります。これは社会で生きる人間の心を脳科学の立場からた解き明かすものになります。これは例えば、仲間はずれにされた時の脳活動や、怒りを堪えている時の脳活動などを調べるものになります。前回の記事では、その大まかな仕組みについて説明しましたが、今回の記事ではより具... 2023年9月4日 佐藤洋平
脳科学 社会認知神経科学:その中核的プロセス 1 はじめに 私達人間は社会で生きる生き物です。社会で生きるためには心を感じたり理解したりする能力が大事になってきます。仕事であれば取引先や上司の顔色をうかがう必要がありますし、怒りを堪えることも、自分の心を感じ取ることも大事なってきます。こういった心の働きは心理学分野で調べられているのですが、社会認知神経科学とは、その仕... 2023年8月26日 佐藤洋平
エッセイ オキシトシン オキシトシンの脳科学:愛、社会性、攻撃性 はじめに 人間は一人では生きられないとも言いますが、たしかに人間は哺乳類の中でもとりわけ社会性が高い動物です。この社会性の根っこにあるのが絆と呼ばれる感情です。根源的なものとしては母子の絆がありますし、家族の絆、地域の絆、同期の絆などもあります。こういった絆を育むホルモンとしてオキシトシンというものがあります。今回の記... 2023年8月5日 佐藤洋平
社会性 感情と脳科学:感情を脳から読み解くことはできるのか? はじめに 私達人間は感情の生き物です。喜んだり悲しんだり怒ったりと、一日忙しく感情は変化していきますが、この感情を読み解く方法はあるのでしょうか?脳を調べることで感情を読み解けるのではないかという考えは長い歴史を持っており、今でも盛んに研究が行われています。この記事では脳と感情について述べられた論文をいくつか紹介したい... 2023年7月29日 佐藤洋平
脳科学 行為についての依存症:恋愛、宗教、ビジネス、インターネット はじめに なにかに夢中になれる人生というのは意義深い。しかし、これも度がすぎると人生を台無しにしてしまうこともある。仕事や恋愛などがいい例で、最近ではSNSやオンラインゲームに夢中になりすぎて困るという話も聞く。今回の記事では、依存症の中でも行為依存と呼ばれるものを取り上げる。これは、なにかしらの行為に対して依存するも... 2023年7月23日 佐藤洋平
脳科学 注意とはなにか?:トップダウン型注意とボトムアップ型注意 はじめに アテンション・エコノミーという言葉があります。これは簡単に言えば、どれだけ注意を引くかを競う経済になります。情報があふれる現在、消費者にどれだけ注意してもらえるかで商品やサービスの売上も変わってきます。それゆえ、企業は手を凝らしてどうにか注意を獲得しようとしていますが、注意とは一体どのようなものなのでしょうか... 2023年7月16日 佐藤洋平