前頭頭頂ネットワークと視覚領域の関係とは?
私達は日々いろんなものを見て過ごしています。
しかしながら何かを見るときというのは、私達の脳は漠然と見ているだけでなく、これから見ようとするものをしっかり見えるように準備して構えています。
サッカーであれば、相手チームの特性によって布陣を変えるように、
武術であれば、相手によってはその構えを変えるように、
脳は外部刺激を最適に処理できるように、あらかじめ脳の活動を調整して事にあたっているのですが、これは果たして具体的にはどこが調整しているのでしょうか。
今日取り上げる論文は、何もないところに視覚刺激の現出を期待して注意を向けているときの脳活動について詳しく調べたものになります。
実験では被験者に視覚刺激が現れうる画面上のある場所へ注意を向けるよう誘導し、その時の脳活動を機能的MRIを用いて調べているのですが、
このような時には注意が向けられる場所へ対応した外線条皮質領域(一次視覚野を除く視覚領域)の活動が高まっており、
さらにこの外線条皮質以上に注意に関わる前頭葉と頭頂葉の領域(頭頂間溝、上頭頂小葉、前頭眼野、補足眼野)の活動が高まっており、
これらのことから前頭葉と頭頂葉の各領域がトップダウン的に視覚野の活動を調整していたのではないかということが述べられています。
なにかに注意を向けて構えているというのは前頭、頭頂、後頭葉を含む全脳的な活動なのかなと思いました。
【要旨】
被験者が視覚シーン内の特定の場所に注意を向けると、その場所で提示された刺激に対する視覚皮質内の反応が強化され、近くの迷わせ刺激の抑制的影響が減少する。 注意された刺激もしくは注意されていない刺激に対する反応を調節するトップダウンのシグナルはどのようなものなのだろうか? 本研究では、対象者が、視覚刺激がない状況で、視覚刺激の発現を期待して視界周辺部に注意を向けたとき外線条皮質の注意に関連する活動が増加することを示す。 前頭領域と頭頂領域は、この視覚刺激を予想している間に視覚領域以上に強いシグナルの増加を示した。 視覚刺激の不在下での視覚皮質における活動の増加は、注意するべき場所に対する前頭頭頂ネットワークに由来する神経信号のトップダウンバイアスを反映している可能性がある。
コメント
特に甘いものが好きというわけではないのだけれども、
酒や煙草もやらないので、気晴らし的に台所へ忍び込み、子供の目を隠れてこっそり甘いお菓子を食べに行くことがある。
ガサゴソ包み紙を開けてさあ食べようと思っていると、背後からお父さん何してるの、僕にもちょうだいよと子供にガン見されたりするのですが、
何かしらのタイミングで居間から台所へ行くときというのは、子供なりに何かを察してガサゴソ音を明瞭に拾えるように、脳をトップダウン的に調整してるのかなと思いました。