視覚認知において前頭前野は何をしているのか?
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視覚認知のおける2つの経路と前頭前野

生まれついてから特に意識をすることなくわたしたちは日々世界を見ています。

スマートフォンのディスプレイ上に注がれたその目を上げれば様々な情報があなたの目に飛び込んできて、あなたが自分の外に世界が広がることを意識しますが、この視覚的意識というのはどのようなものなのでしょうか。

ざっくり私達が意識する視覚情報を分けて考えれば、意味情報と空間情報に分けられるのではないかと思います。

机の上にリンゴがあれば、

①「ああ、これはリンゴだ」と眼の前のものが何かを判別する意識があり

②「私の手前40センチ、ちょうど手が届きそうなところにあるぞ」というその物体がどのへんにあるかということを認識する意識があり、

この①の意味的情報処理と②の空間的情報処理の2つが合わさって、

「おっ、手の届きそうなとこにりんごがあるぞ」と認識します。

脳の中にもこの2つの情報処理を担う経路があって、

意味情報処理を担う経路は後頭葉から頭頂葉へ向かう経路で腹側視覚経路(下図の黄緑)、

空間情報処理を担う経路は後頭葉から側頭葉へ向かう経路で背側視覚経路(下図の紫)と呼ばれています。

しかしながら脳の中の前の部分、前頭前野は視覚的認知に際してどのように働いているのでしょうか。

今日取り上げる論文は同じ画像を使って意味認知課題と空間認知課題をさせているときの脳活動について調べたものです。

結果を述べると、意味認知を行うにしろ空間認知を行うにしろ、前頭前野においてはワーキングメモリに関係する背外側前頭前野が活動していること、

またこの背外側前頭前野の機能としては脳の中の旗振り役のようなものではないか、

すなわち認知課題が空間認知であれば頭頂葉が働くように指示し、

認知課題が意味課題であれば側頭葉が働くように支持するような働きがあるのではないかということが仮説的に述べられています。

脳というのはチームワークで動いているんだろうなと思いました。

参考URL:Spatial maps in frontal and prefrontal cortex.

 

【要旨】

前頭前皮質の機能は広く研究されているが、個々の前頭前野の内部組織についてはほとんど知られていない。 機能的磁気共鳴画像法を用いて、いくつかの前頭前野および前頭前野の皮質領域が、視覚空間を、規則正しく再現可能な形態図として表すことを示した。 この形態図を含む領域は、ワーキングメモリタスクが関与する背側前頭前野と部分的に重なっている。 これらの形態図は、さまざまな空間的な場所にある課題に関連した対象に注意を向けるために役立つことがある。

 

 

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